熊本県においても、注文住宅で3階建てを選択肢の一つと考えている人が、少しずつ増えています。
2階建ての住宅が大きなシェアを占める中で、3階建ての注文住宅は、まだまだ珍しいといえますが、興味を持つ人は決して少なくないという印象です。
そこで今回は、3階建て住宅のメリットやデメリット、どのように間取りを配置しているかなど、疑問を想定しながら解説します。
国内の住宅着工数は、国土交通省の統計では2008年(平成20年)に100万戸を超えたのを最後に、2022年に至るまで80万戸から90万戸台で推移しています。
全体が伸び悩む中で、熊本県内での3階建て住宅は、年々、多いとは言えないものの一定数の着工実績があります。
出典: 国土交通省「建築着工統計調査」 2022年 表4-1
今、3階建て住宅を建てるとなると、どのような価値が生まれるのでしょうか。
間取りの特色と建築時の注意点などについてお伝えします。
3階建てで多くあるのは下記のような間取りです。
1階→玄関、洗面所、浴室、カーポート
2階→リビング、ダイニング、キッチン
3階→個室や子ども部屋
水回りを1階にすると、2階すべてをLDKで使用できるので、ゆったり落ち着いた空間とできます。
また、浴室や洗面所と個室が離れるので、音が聞こえづらく夜間や早朝でもシャワーや洗濯機を気兼ねなく使うことができます。
1階→玄関、個室、カーポート
2階→リビング、ダイニング、キッチン、洗面所、浴室
3階→個室や子ども部屋
水回りを2階に配置すると、1階にも個室が取れるので、家族の人数が多い場合に選択されます。
また、水回りがまとまっているので、家事効率はアップしますが、リビングの広さが取りづらいことが難点です。
1階→玄関、洗面所、浴室、カーポート
2階→個室や子ども部屋
3階→リビング、ダイニング、キッチン、
リビングからの眺望や日当たりを最も優先したい場合は、LDKを3階に配置します。
狭小地で家が密集している、旗竿地で周囲が家に囲まれている場合に取り入れられる間取りです。
1階→玄関、洗面所、浴室、カーポート(共用のスペース)
2階→親世帯が使用
3階→子世帯が使用
世帯ごとに居住階を分けられるので、プライバシーの確保がしやすくなります。
1階→玄関、店舗
2階→リビング、ダイニング、キッチン、洗面所、浴室
3階→個室や子ども部屋
店舗スペースと居住空間を分けると生活にメリハリがつけられます。
土地を選ぶ際や間取りを考える際に注意する点は下記の通りです。
3階建ての住宅の数が少ないことから、メリットはあまり知られていません。
この章では、以下の3つのメリットについて説明します。
熊本県内だけでなく全国的にも3階建て住宅は少ない上に、外壁面が大きいので遠くからでも目立ってよく見えます。
狭小地に建てられている場合、土地にかかる制限ギリギリの広さや高さで計画することが多いので、外観や屋根のデザインを持たせることができず、シンプルな箱形に薄い屋根といった形状にならざるを得ない場合もあります。
シンプルな形状だからこそ、外壁材の色づかいや素材で壁面に変化を持たせたり、縦長の形状を生かしてアクセントカラーを入れたりなど、自由に外観に変化をつけられます。
デザインはシンプルでも配色によって好みの外観に仕上げることが可能です。
また、シンプルな外観は、水の侵入経路となりがちな部材の取り合い部分が少ないので、トラブルが起きづらくメンテナンスが容易となります。
容積率に余裕があれば、狭い土地でも3階建てにすることで十分な部屋の広さを確保できますし、土地にかかるコストを節約することができます。
また、十分な広さのある土地に、3階建てを建築すると庭や駐車場を広くとれ、土地活用の幅が広がります。
3階部分は、周囲の建物の影になることが少ないので、一日中、太陽の光が降り注ぐ室内を実現できます。
間取りによっては、吹き上げや吹き抜け、天窓を利用して、2階まで日光を取り入れることも可能です。
3階建てには、やはりデメリットもあります。
この4つについて説明します。
2階建て住宅の場合、老後は2階を物置と客間として使い、極力、階段は使わない生活もできますが、3階建て住宅の場合、よほど考えられた間取りでなければ1階だけで生活することは、かなり難しいです。
住宅用エレベーターを設置することも考えられますが、間取りに制約が出て、各階全ての部屋のスペースが狭くなってしまいます。
コストについても最低でも300万円以上、基礎の補強やオプションによっては、700万円以上かかる場合もあり、車いす生活を想定するのであれば、更に大型のものが必要となります。
よって、身体の自由が利かなくなったあと、快適に過ごすことが難しいことを、あらかじめ念頭に置かなくてはなりません。
3階建ては、上下階への移動頻度が増えるので、室内での移動距離が長くなります。
特に、家事の動線が不便になることが多くあります。
洗濯する際は、洗濯機の設置場所、干すスペース、収納場所によって移動距離は長くなりますし、2階以上にキッチンを設置する場合となると、お米や水などを抱えて2階まで上がるという状況は避けられません。
日頃の運動不足解消には、かなり役立つかもしれませんが、利便性との引き換えになることは承知しておくべきです。
熊本県は土地柄、台風や大雨に見舞われることは少なくありません。
その後に、外壁や屋根の点検をしたくても、目視できる範囲が限られます。
また、平屋や2階建ての場合、手の届く範囲はDIYで応急処理が可能なトラブルでも、3階建てでは難易度が高くなり、業者に依頼する必要がでてきます。
光ケーブルを敷設すればインターネット環境は構築可能ですが、問題は住宅内での無線、つまりWi-Fiでの通信です。
各階でのWi-Fiの通信状況が良くないことを防ぐために、適切な場所へ、中継用のWi-Fiルーターを設置することが不可欠です。
恐らく3階建ての建築費用相場は、なかなかピンとくることはありませんし、熊本県内でも有益な情報は決して多いとは言えないのが実情です。
そこで、同じ床面積で3階建てにした場合、平屋や2階建てと比べて費用に違いはあるのか、独自の見解ではありますが、本章でお伝えします。
建築費用とランニングコストに分けて比較してみました。
3階建て住宅では、2階建てや平屋と比べて下記の費用が追加で必要です。
平屋や2階建ての場合はかかりません。概算30万円程度です。
建物の総重量が増えるので、平屋や2階建てよりも家全体を支える地盤をより強固にする必要があります。
各部屋の広さを同じにすると仮定した場合、階段に面積をとられてしまうので、部屋の希望の広さを保つには、総面積を大きくしなければなりません。
総面積が増えると建物のコストはあがってしまいます。会談は、各階ごとにおおよそ畳2枚分のスペースが必要です。
大型家具や大型家電などが階段からあげることが難しい場合、窓やバルコニーから搬入することとなります。多くの場合、追加料金が発生します。
3階建てを建築できる土地は、市街地に多くあるので、防火地域に指定されているケースもあります。建物に防火対策を施すためにはコストがかかってきます。
3階建て住宅では、2階建てや平屋と比べて下記の費用がカットできる可能性があります。
平屋や2階建てに比べて、土地の広さが必要ありません。
また、3階建ての場合、高さを生かす、天窓を利用するなどの工夫によって、室内の採光が確保しやすくなります。
ぱっと見た限り、条件があまりよくないお値打ち価格の土地でも、快適な空間を作ることができます。
同じ床面積と仮定すると、3階建ての屋根と基礎の面積は2階建ての2/3、平屋の1/3程度ですみます。
構造がシンプルになると、必要な部材が最小限で済むほか、工事日程も短縮できるので職人の人工も減らすことができます。
将来的なメンテナンス費用も削減することが可能です。
ランニングコストで大きく変わるのは、エアコンや暖房の費用です。
室内に高低差がある分、どうしても1階と3階では温度差が生じてしまいます。
3階の階段上部にシーリングファンを取り付けて空気を循環させる、建物自体の断熱性を高める、24時間暖房または全館空調を検討して室内の温度を一定に保つなどの工夫が必要です。
特に1階部分は暖かい空気が逃げやすくなります。
洗面所や浴室でのヒートショックを防いで健康的な生活を送るためにも、室温の安定は大切です。
24時間暖房または全館空調はもったいないという印象を受けるかもしれませんが、全部屋を暖めるというよりも、寒い部屋をなくすという観点から検討の余地はあります。
3階建て住宅を検討する際の注意点やメリット、デメリット、費用の比較についてお伝えしました。
間取りや暮らし方を工夫すれば、快適に暮らすことができるのが、3階建ての魅力と言えます。
特にエリア限定で土地探しをしている方にとって、3階建てを視野に考えると、土地の選択肢を広げることができます。
住まいづくりを進める上での参考としていただけると幸いです。
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また、熊本県で新築一戸建て(注文住宅)を建築される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。