土地の取得や保有によって、どのような税金が関わってくるのか、さらには、どの程度の負担となるのか、気にならないという人はいないはずです。
現実として、土地の取得や保有による税金の負担は軽くはありません。
負担する税金の種類を簡単にまとめると、以下のとおりです。
一方で、税金の負担が抑えられる軽減措置もあることはご存知でしょうか。
本記事では、土地の取得や保有にかかる税金を解説したうえで、軽減措置の内容も紹介することにします。
この記事を読めば、どの程度の税負担があるのか、そして軽減措置によって、どれだけの負担が抑えられるのか、大まかに把握することは可能なため、ぜひ参考にしてみてください。
なお、本記事は2022年10月19日時点の法令にもとづいて記述しておりますが、今後の法令改正によって変更がある場合があります。
予めご了承ください。
土地の取得にかかる税金の種類としては、次の3つが挙げられます。
まずは、どのような種類の税金なのか、どの程度の負担があるのか、確認していきます。
なお、印紙税と登録免許税は国に納める税金(国税)であり、不動産取得税は市町村(東京23区は東京都)に納める地方税です。
印紙税とは、不動産の売買契約書(譲渡契約書)を含む課税文書を作成したときに、作成者に対して課せられる税金です。
原則として、契約書に印紙税相当額の収入印紙を貼り付け、印章または署名で印紙を消すことで、納税が成立します。
印紙税の額は、売買契約書(譲渡契約書)に記載された金額ごとに定められており、例えば記載金額が1,000万円だとすると、印紙税の額は1万円というように定められています。
なお、2024年3月31日までは、軽減措置による税額での運用となるため、後述の一覧表で確認してみてください。
登録免許税とは、土地の取得の際に必要な登記などを課税対象として、登記を受けた人を対象とする税金です。
土地を取得するということは、同時に所有権の移転を意味するものであり、その所有権の移転登記に対して、定められた割合で課税されます。
土地の所有権の移転登記については、固定資産税評価額を課税標準として、税率(本則税率)は2.0%と定められています。
仮に土地の固定資産税評価額が700万円とすると、登録免許税として2.0%に相当する14万円を納税するわけです。
ただし登録免許税も、2023年3月31日までは後述する軽減措置が適用されます。
不動産取得税とは、その名のとおり不動産を取得した人物に対して課される税金です。
たとえ土地を無償で譲り受けた(贈与された)としても課税されるのが特徴です。
土地を取得したときにかかる不動産取得税の額は、土地の固定資産税評価額に4.0%を乗じた金額となります。
そのため、仮に土地の固定資産税評価額が700万円のとき、不動産取得税として28万円を納税することが原則となります。
しかし、不動産取得税も後述する軽減措置があるため、実際に負担する金額とは異なる場合があります。
繰り返しますが、前述したように不動産取得税は地方税です。
ゆえに、本サイトで掲載している物件情報は、熊本県・福岡県・佐賀県・大分県・神奈川県・千葉県を中心としているため、それぞれの自治体の公式サイトなどで、不動産取得税の軽減措置について確認するようにしてください。
土地の取得にかかる税金として、
について、それぞれ概要を解説しました。
ここでは税額や税率の軽減措置についてまとめています。
特に不動産取得税と印紙税は、軽減措置により負担が大きく低減されていることに注目です。
まずは表をご覧ください。
税目 |
本則 |
軽減措置(特例措置) |
登録免許税 |
固定資産税評価額×2.0% |
固定資産税評価額×1.5% |
不動産取得税 |
固定資産税評価額×4.0% |
固定資産税評価額×1/2×3.0% |
印紙税
記載金額 |
本則税率 |
軽減後の税率 |
10万円超50万円以下 |
400円 |
200円 |
50万円超100万円以下 |
1,000円 |
500円 |
100万円超500万円以下 |
2,000円 |
1,000円 |
500万円超1,000万円以下 |
1万円 |
5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 |
2万円 |
1万円 |
5,000万円超1億円以下 |
6万円 |
3万円 |
1億円超5億円以下 |
10万円 |
6万円 |
5億円超10億円以下 |
20万円 |
16万円 |
10億円超50億円以下 |
40万円 |
32万円 |
50億円超 |
60万円 |
48万円 |
比較しやすいように、試算をしてみます。
この土地を購入した場合、本則であれば、
となり、合計43万円の税負担です。
ところが軽減措置が適用されることで、
合計が21.5万円と半額になります。
新築住宅用に土地を取得する場合、不動産取得税においては、一定の要件をクリアする必要はありますが、
上記1または2のいずれか大きい金額を控除する特例制度もあります。
(※) 固定資産税評価額の1/2
本稿執筆時点(2022.10.22)における、印紙税、登録免許税、不動産取得税の軽減措置の期間は以下のとおりです。
軽減措置の期間については、今後、変更される可能性もあるため、適宜、情報を収集して確認するようにしてください。
続いて、土地の保有にかかる税金について、概要を説明していきます。
土地の保有にかかる税金としては、次の2つが挙げられます。
固定資産税、都市計画税は、どちらも自治体に納める地方税です。
固定資産税とは、毎年1月1日に土地などの固定資産を所有している人に対して課される税金です。
固定資産税評価額を基に税額が計算され、送付される納税通知書によって市町村(東京23区は東京都)に納付します。
固定資産税の額は、原則として3年に1度決まる固定資産税評価額に1.4%(課税標準)を乗じた額です。
仮に土地の固定資産税評価額が700万円のとき、固定資産税は9万8,000円となります。
なお固定資産税は、後述しているとおり軽減措置があるため、実際の税額はこの限りではありませんので、参考程度に留めておいてください。
なお、固定資産税評価額は固定資産評価基準を基にして市町村等が決定しますが、土地はあらゆる要素によって価値が変動するため、3年に1度のペースで再評価(評価替え)が行われます。
本年の令和4年度は第2年度にあたり、次に再評価されるのは令和6年度です。
3の倍数年度という覚え方だと記憶に定着しやすくなります。
都市計画税とは、原則として都市計画法による市街化区域内の固定資産の所有者に対して、都市整備費用を負担させる趣旨を持つ目的税と言われるものです。
税額に関しては、固定資産税評価額を課税標準とし、0.3%(制限税率)以下の範囲で市町村等が条例で定めた税率を乗じることにより決定します。
例えば、東京都の場合は制限税率0.3%をそのまま採用しており、税率は0.3%ですが、他の自治体においては、公式ホームページでご確認ください。
仮に固定資産税評価額を700万円とすると、都市計画税は2.1万円です。
もっとも都市計画税も、後述しているように軽減措置があるため、実際の税額はこの限りではなく、参考程度に留めておいてください。
なお、都市計画税は固定資産税と一緒に納税通知書で税額が通知され、納付書等で納めます。
保有している土地が住宅用地の場合、次に挙げる税負担の軽減措置が、現時点(2022.10月現在)でも実施されています。
この2つの軽減措置について、簡単に説明します。
固定資産税の住宅用地の特例とは、固定資産税と都市計画税が対象の特例です。
以下の表のように課税のベースとなる固定資産税評価額を減額することで、税負担が軽減されることになります。
区分 |
固定資産税 |
都市計画税 |
小規模住宅用地 |
固定資産税評価額の1/6 |
固定資産税評価額の1/3 |
一般住宅用地 |
固定資産税評価額の1/3 |
固定資産税評価額の2/3 |
なお、小規模住宅用地とは、住宅用地において住宅1戸につき200平米までの部分を指します。
一般住宅用地とは、200平米を超える部分など、小規模住宅用地以外の住宅用地のことです。
税率については、固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%と変更はありません。
また、本特例には期限はありませんが、用途変更などがあれば、特例の適用がなくなります。
市町村によっては人口減や移住促進の対策として、独自の優遇措置を設けている場合があります。
例えば東京23区内では、令和4年度の小規模住宅用地の都市計画税を、半額にするとの措置が実施中です。
さらに東京23区では、地価が急激に上昇した場合に税負担を抑制する制度が、令和4年度まで継続されます。
これにより、税額は前年度の1.1倍を超えることはありません。
改めますが、固定資産税や都市計画税は地方税です。
土地の取得、保有に関する税制については、各自治体のホームページをチェックしておくことをおすすめします。
土地の取得時には、印紙税、不動産取得税、登録免許税の負担が発生します。
また、土地を保有していると、毎年、固定資産税や地域によっては都市計画税の負担もあります。
ただし印紙税を除くと、いずれも固定資産税評価額に基づいて税額を計算することが特徴だと気付くのではないでしょうか。
ぜひ本記事を参考にしつつ、土地を取得し保有した場合の税金の負担について、理解を深めて頂ければ幸いです。
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