現在、日本の住宅業界では省エネルギー性能が高い住宅や低炭素排出の住宅といった、環境に配慮した住宅の建築が推進されています。
このような流れを継続させるため、一般社団法人木を活かす建築推進協議会は「地域型住宅グリーン化事業」を計画し、各事業者へ計画参加の働きかけを行っています。
なお、地域型住宅グリーン化事業の詳細、各地域にあるグループの取組み、あるいはグループに参画している関係事業者については、公式サイトをご覧ください。
地域の住まいづくりのお手伝い~地域型住宅グリーン化事業採択グループのご紹介
この記事では、地域型グリーン化事業の概要、補助対象住宅、補助対象者、補助金額などについて解説するものです。
地域型住宅グリーン化事業とは2015年(平成27年度)にスタートした事業で、木造住宅の建築において関係事業者を同じ地域より集め、省エネルギー性能や耐震性能が高い住宅を建築する事を目的としています。
集まった関係事業者はグループと呼ばれ、建材や製材、プレカット建材などの住宅生産に関わる企業や中小工務店で構成されます。
グループに属した会社内では、家づくりに関する考え方や性能、維持管理の共通ルールを共有しており、その結果、省エネルギー性や耐震性に優れた木造住宅を効率の良く建築することが可能です。
まずはグループとは何なのかについて、理解していくことにしましょう。
グループには、地元の中小工務店、建材流通事業者、製材事業者、原木供給者、プレカット事業者、建築士事務所などが参画し、地域に根ざした住宅を消費者に提供しています。
グループには年間50戸未満の供給事業者が最低5社以上、それ以外の企業が最低1社以上参加する事により、住宅の核となる「構造材」や省エネルギー住宅設備を供給できる体制を確保しており、日本全国に事務所があります。
参加した企業は、
について共通のルールを策定、運用、順守しているため、確かな品質が見込めることもポイントです。
尚、どのような企業がグループに参加しているかは、地域型住宅グリーン化事業のサイトで検索する事ができます。
環境に配慮した住宅に住みたいと考えて、本制度の補助を受けたい場合は、まずグループの理解がカギとなります。
住宅関連事業者で構成されるグループによる、環境に配慮した住宅の建築が、補助の条件となっているためです。
地域型住宅グリーン化事業は、省エネルギーかつ耐震性の高い木造住宅の建築が目的ですが、グループを通じて補助金が受けられることが最大のメリットとなります。
なお、参考までに説明しておきますが、関係事業者によるグループへの応募は電子申請で行われています。
地域型住宅グリーン化事業のシステムより、ログインIDとPWの発行を受け、グループ事務局ツールよりログインし、必要情報を入力する事で申請完了です。
最終的な応募完了締切は、令和5年2月6日となっています。
採択が決定した場合、地域型住宅グリーン化事業のHPに公開され、グループの参加企業を確認する事ができます。
補助の対象となる住宅は、単に省エネルギー住宅であれば良いというわけではなく、以下の住宅性能要件、
の水準であることが定められています。
2021年度以前は省エネ改修型も対象でしたが、本年度は対象となっておりませんので注意が必要です。
また、木造の新築住宅である事がポイントで、中古の戸建ての購入や木造以外の住宅は対象外となります。
ここでは対象となる3種類の性能要件について解説します。
国土交通省によると、長期優良住宅は長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良住宅の事と定義されています。
長期間快適に住む事ができる住宅が増える事は家屋の解体件数を減らす事にも繋がり、結果的に環境への影響を低減させる事になります。
そのため、長期優良住宅の増加は地域型住宅グリーン化事業の目的に沿う事になり、補助対象の住宅となるわけです。
長期優良住宅と認定されるためには、次の条件をクリアする必要があります。
良好な景観の形成その他の地域の居住環境に配慮された住宅であること
傷みの少ない素材で計画的にメンテナンスする事で、長く快適な住環境を維持する事ができる基準を持っていること
将来にわたって構造躯体が使用できる住宅であり、劣化対策等級3+α以上であること
耐震等級2以上であること
維持管理対策等級3以上であること
75㎡以上であること
省エネルギー対策等級4以上であること
東日本大震災が契機となり、エネルギー需給が変化しました。
また、エネルギーや地球温暖化に対する意識も大きく変化し、市街地の低炭素化を促進するための政策が発足しています。
こういった省エネルギーの流れは住宅にも大きく影響しており、低炭素住宅を認定する制度がスタートしています。
認定低炭素住宅認定制度も国土交通省が進めている政策の1つとなっており、住宅ローン控除の優遇や登録免許税の税制優遇といった特例も、併せて受ける事ができる点もメリットです。
当然、省エネルギーに特化した住宅でもあるため、地域型住宅グリーン化事業の補助金対象となる住宅となります。
経済産業省資源エネルギー庁によると、住宅が消費するエネルギーは国内全体の10%を超えており、住宅の省エネルギー化は国内全体のエネルギー問題に大きな効果をもたらす可能性を秘めています。
ゼロ・エネルギー住宅はZEHと呼ばれており、家庭で使用するエネルギーよりも太陽光システムで生み出すエネルギーを多くする事で、実質的に消費エネルギーがゼロとなる住宅を標榜するものです。
ZEH住宅を実現するためには、太陽光システムによる生み出す技術だけでなく、高気密・高断熱といった住宅仕様や高効率の設備導入がポイントになります。
例えば、熱を逃がさない断熱材や、家屋内の空気を効果的に循環させる換気システムの導入などです。
地域型住宅グリーン化事業に参画しているグループは、これらの建材や設備を安定供給できる企業が属しているため、エネルギーゼロを実現できる体制が整えられています。
地域型住宅グリーン化事業における補助金額の上限は、対象住宅によって変わり、以下の内容となります。
・長寿命型(長期優良住宅):140万円
省エネ水準を満たさない場合:110万円
・高度省エネ型(認定低炭素住宅):90万円
省エネ水準を満たさない場合:70万円
・ゼロ、エネルギー住宅型
ZEH、Nearly ZEH:140万円(かつ認定長期優良住宅:150万円)
ZEH Oriented:90万円
また、上記に加え加算できる要件が5つ用意されています。
補助金を受ける場合には、5つの加算要件を申請する事で、上記補助金額を増額する事が可能です。
加算金額は20万円です。
柱や梁、桁、土台といった主要構造材の大半(過半)において、本事業における「地域材の考え方」に示す「地域材」を使用する場合に加算する事ができます。
加算金額は30万円です。
三世代が同居できる住宅の要件を満たす場合、具体的には、キッチン、バス、ドレッサー、玄関のうち2つを複数設置することで、加算する事ができます。
加算金額は30万円です。
補助を受けようとする住宅オーナーが、年度当初(令和4年の4月1日)時点で40歳未満の場合、もしくは年度当初時点もしくは、交付申請日時点でオーナーが18歳未満の子供と同居している場合に加算する事ができます。
加算金額は20万円です。
地域の伝統的な建築技術を、後世に残すために建築する住宅である場合に加算する事ができます。
加算金額は30万円です。
第三者機関による検査を受け、建築する住宅の専用部分が住宅性能表示制度の高齢者等配慮対策等級3以上と評価された場合に加算する事ができます。
前述した加算要件を組み合わせる事で、40万円を上限として補助金額を増額する事ができます。
その組み合わせは以下のとおりです。
ここまでご覧になって何となく補助を受けるには、3つのハードルをクリアする必要があるということに気付くはずです。
一定水準の省エネ性能を実現するには相対的にコストは上がりますし、建築業者も限定され、自由に選ぶことはできません。
つまり友人・知人の紹介や伝手で、マイホームをできるだけ安く入手するということは、期待できないとも言えます。
ゆえに補助金を利用できたとしても、予算を大幅に超える見積もりである場合は、再検討の余地はあります。
地域型住宅グリーン化事業はグループに参加している企業に補助金を提供し、長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH住宅の建築を推進していく事が目的です。
また、グループ参加企業に共通のルールや情報管理を遵守させる事で円滑な省エネルギー住宅の建築に取組む事ができ、住宅のオーナーにとっても良い効果をもたらす事ができます。
今後も省エネルギー住宅の需要は増える事が予想されるため、地域型住宅グリーン化事業の継続が期待されています。
なお、熊本県・福岡県・佐賀県・大分県・神奈川県・千葉県において省エネ性能を有する住宅の建築を検討中で、土地探しをしている場合はリブワークのe土地netにお任せください。
また、熊本県・福岡県・佐賀県・大分県・神奈川県・千葉県で新築一戸建て(省エネ水準の注文住宅)を建築される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。
弊社リブワークも「地域型住宅グリーン化事業」に参画しています。
本記事では、「地域型住宅グリーン化事業」に関して一部を紹介したに過ぎず、情報の正確性には努めていますが、その内容を担保するものではなく、一切の責任は負いません。