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2022.07.22
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生産緑地の2022年問題ってなに?土地情報や相場に大きな影響がある?

生産緑地の2022年問題や大量売却や土地相場の下落の関連とは

目次

 

市街地での農業の継続を担保するために生まれた生産緑地地区。
市街化区域に存在する農地などに対して税制優遇を設けることで、営農者の利益を守るとともに都市部の「緑」を確保する役割を果たしています。

しかし、その多くが2022年に期限を迎えているのです。
すでに半ばを過ぎていますが、以前より、一斉に宅地化されることによる環境の悪化や不動産市場の混乱が危惧されていました。

現在の不動産市場や、生産緑地を所有する営農者の今後について、独自の見解を述べてみます。

生産緑地の2022年問題とは

生産緑地の制度が生まれたのは、改正生産緑地法が制定された1992年です。
国内に存在する生産緑地の約8割が、その年に指定を受けています。

指定期間は30年ですから、2022年には指定を受けた土地が一斉に農地としての役割を終え、住宅用地などに転用される可能性が現時点でも多数あると予想されます。
転用によっては都市部の緑の減少を招くだけでなく、短期間に多くの宅地が供給されることによって、周辺の不動産価格の暴落を招く恐れがあるとされていました。

生産緑地について

生産緑地とは、市街化区域内の土地のうち、1992年に制定された改正生産緑地法によって定められた基準を満たし、管轄自治体から指定を受けた農地などを指します。
市街化区域は「すでに市街地を形成している区域、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ですから、本来は市街地として開発を進めるべきエリアになります。

しかし、従前から農業を営んできた人々の利益も守らなくてはなりませんし、都市部とはいえ一定の自然環境の保全も必要です。
このため、税制優遇制度などを設けて営農の継続が困難にならないように配慮した仕組みとして制度化されました。

生産緑地の指定を受けると、

  • 固定資産税・都市計画税の軽減措置
  • 相続税の納税猶予

などの優遇措置がある一方、原則30年間は営農の継続が義務付けられ、宅地への転用や売却などが制限されます。

問題の概要

全国の約8割の生産緑地は、改正生産緑地法が施行された1992年に指定を受けていることから、2022年が期限となります。

30年を経過した宅地は、管轄する市町村に対して買い取り請求ができるしくみになっていますが、すべての請求に対して自治体が対応することは非現実的です。
都市計画として公共施設の設置が予定されているといった具体的な活用策がない限り、買い取りが実施されるのは非常に稀なケースと言えます。

しかし、生産緑地の所有者にしてみれば、生産緑地指定の解除によって税の優遇措置もなくなり、土地を所有し続けるためのコストの負担が圧し掛かります。
ゆえに不動産市場での売却という手段を選択すると、過剰な供給によって周辺の土地価格の大幅な下落を招くのではないかという懸念が問題視されていたのです。

生産緑地の土地所有者は自治体の買取か市場での売却か特定生産緑地の指定を受けるか生産緑地として維持する

生産緑地所有者の方向性

生産緑地を所有する営農者が取るべき選択肢は、

  1. 自治体への買取り制度を利用
    (自治体が買い取らなければ市場で売却)
  2. 特定生産緑地の指定を受け現状を10年間延長(以降10年毎に更新)
  3. 生産緑地のまま維持

という3つが考えられます。

営農を継続する意思があるか否かによって、取るべき手法は全く異なります。

それぞれの内容を見ていきましょう。

自治体の買い取りまたは市場での売却

生産緑地の所有者が、不動産市場で宅地として売却したいと考えたとしても、いきなり売却することはできません。
まずは管轄する市町村に対して、当該地の買い取りの申し出をする必要があります。

この手続きを経たうえで市町村が買い取らなかった場合、はじめて生産緑地に掛かる制限が解除され、その土地の売却や転用が可能です。

ただ実際には、自治体に具体的な土地活用の計画などがなければ買い取ることは難しいと言わざるを得ないため、宅地への転用や市場での売却という可能性が高いと考えられます。

指定が解除されれば税制優遇も終了しますから、それを踏まえた上で買い取りの申し出をする必要があります。
つまり、宅地に転用して活用する方法があるか、市場で相応の価格で売却することができるかが判断のカギと言えそうです。

特定生産緑地の指定を受ける

もともとは市街地での営農者の負担軽減を主たる目的とされた生産緑地ですが、現在は都市部の自然環境の維持という役割が非常に高まっています。

そのような実態と、2022年に多くの生産緑地が解除期限を迎えることを踏まえ、2017年の生産緑地法の改正により、一定の条件を満たした生産緑地を「特定生産緑地」に指定し、税制優遇などの措置を10年間延長する制度が設けられました。

特定生産緑地に指定された場合、市町村に買取り申出ができる期間が10年延長され、所有者と自治体との合意があればさらに10年と、繰り返しの延長ができる制度です。

これに合わせて、生産緑地に指定できる面積の要件を条例で500平方メートル以上から300平方メートル以上に緩和することができるようになっており、仮に土地収用などで一部の農地が転用されたとしても指定が受けやすい仕組みが作られています。

特定生産緑地の指定を受けた場合、固定資産税の農地評価や相続税の納税猶予などの特例、買い取りの申し出期間などが延長され、実質的に従前の生産緑地指定の効果が10年間延長される形となります。

この法改正では、生産緑地内に設置できる施設として、

  • 生産物の直売店舗
  • 生産物を利用した飲食店

などが追加されました。

また、2018年には「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が施行され、貸農地としての利用も可能になり、従前の生産緑地以上に活用の幅が広がっています。

生産緑地として維持する

最後の一つは生産緑地のまま維持するという選択肢です。

30年間の経過によって買い取りの条件を満たした生産緑地は、これまでのように税制の恩恵が受けられなくなります。
農地として評価されるようになり、抑えられていた固定資産税・都市計画税が宅地並みに評価されるわけです。

すると固定資産税など、いきなり大きく税額が跳ね上がることも予想され、所有者に対する混乱を防ぐため、5年間で年20%ずつ、段階的に評価を変えていくことになっています。

また、相続時の納税猶予の特例に関しても、現在の所有者の相続が発生したときに限られ、次の相続ではこの特例が適用されません。

転用や売却の意思がなく営農を続けるのであれば、この選択肢はデメリットな面が目立つようになります。

生産緑地方は2022年がリミットだが特定生産緑地制度で大量売却に歯止めがかかるか

生産緑地の大量売却で相場に異変?

国土交通省の調査による三大都市圏の生産緑地の面積は12,000ヘクタール(2021年12月31日現在)。
この8割に当たる9600ヘクタールもの農地が2022年に指定解除の対象となっています。

このすべての農地が宅地化されるとは考えにくいものの、仮に大規模な農地が宅地として供給されれば、周辺の不動産価格には多少なりとも影響が出るものと推測されます。

生産緑地指定の一斉解除が不動産相場にどのような影響を及ぼすのか、これについて考えてみました。

生産緑地法により2022年がリミット

特定生産緑地の指定を受けるリミットは、生産緑地の指定を受けてから30年が経過するまでです。
1992年の生産緑地法改正に際して指定を受けた農地は、2022年がリミットになります。

前述の通り、何もしなければいつでも買い取り請求ができる状態の生産緑地となって、税制の優遇措置のメリットを失います。

このため生産緑地の所有者は、繰り返しになりますが、

  1. 特定生産緑地の指定を受けて10年間の指定と営農義務を継続
  2. 市場での売却も視野に入れて市町村に対して買い取りを請求する

という選択を念頭に、判断を迫られると推測しています。

特定生産緑地制度で歯止め

2017年の生産緑地法改正で新たに生まれた「特定生産緑地」の制度。

従前の生産緑地としての権利と義務を10年間延長することが制度の大枠ですが、この改正では特定生産緑地以外にも農地の市場流出を防ぐ施策が講じられています。

1つ目が生産緑地地区の面積要件の改正です。

従前は生産緑地の指定を受けるには「500平方メートル以上」という要件がありましたが、これを市区町村の条例により「300平方メートル以上」に緩和することが可能となりました。
仮に土地収用などで一部の農地が転用され500平方メートルを割ってしまった場合、残る生産緑地が所有者の意思とは無関係に解除される、いわゆる「道連れ解除」を防止する策としての機能が期待されています。

2つ目の施策は生産緑地内に設置できる施設の追加です。

新たに設置が認められたのは「農作物等加工施設」や「農作物等直売所」、「農家レストラン」などで、生産だけでなく加工・販売までの一貫した施設整備が可能となりました。
さらに2018年に都市農地貸借法が制定されたことで、所有者自身が農業を営むだけでなく、生産緑地の貸借という活用法が制度として確立されています。

いい土地の価格は下がりにくい

土地相場の下落を過度に期待しない

生産緑地が大量に市場に流出すれば、周辺の土地価格の大幅な下落を招くかもしれない・・・。
土地の購入を検討している側の立場であれば、歓迎すべき現象と言えます。

しかし実際には、すべての農地が良好な宅地として転用が可能であるとは言い切れない面もありそうです。

市場価格に大きなインパクトを与えるほどの供給が生まれるエリアは限定的である、と考えたほうが無難と言えるかもしれません。

良い土地の価格は下がりにくい

もちろん指定が解除された生産緑地が、宅地として市場に出ることは考えられますが、そもそも、すべての生産緑地が宅地として活用できるとは限りません。
建物の建築可能な土地は接道義務を満たす必要があるなど、建築基準法を始めとするさまざまな法律の制約を受けます。

また市街化区域内とはいえ、住宅用地として大きな需要が見込める「駅近」「学校や商業施設周辺」といった好条件の農地は、限定的と言えそうです。

農地を転用して優良な宅地として供給するためには、道路の開設やライフラインの整備、大規模な造成などが必要となるケースも多く、それに掛かるコストを考慮すると相場を押し下げるほどの価格優位性を持つ農地はほんの一握りの可能性も。

ゆえに、周辺の不動産価格に影響を及ぼすほどの供給量が生まれるとは、安易に考えにくいのが実情と言えるでしょう。

つまり、住宅用地としての価値を決める立地や環境、設備などで優位性がある土地であれば、農地の市場流出によって価格が下がる可能性は低いと考えるのが現実的といえます。

生産緑地の2022年問題と特定生産緑地制度などについて

まとめ

生産緑地の制度が生まれて30年を迎える2022年。

指定を解除された農地が大量に宅地として市場に流出すれば、周辺の環境の悪化や不動産価格の暴落などの混乱を招く恐れがある・・・。
これが生産緑地の2022年問題の概要です。

しかし、新たに創設された特定生産緑地の制度や指定要件の緩和策によって、生産緑地の所有者は営農を継続する選択が容易になりました。

また、良質な宅地としての活用が見込める農地は限定されることから、不動産価格の暴落などの可能性も低いと考えられます。

一部の狂騒に踊らされることなく、生産緑地の所有者は将来を見据えた選択を、不動産の購入希望者は現実を踏まえた条件を検討することが大切です。

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