不動産を売却する際には、まず売却を委託するために不動産会社を決める必要があります。
不動産会社を決めるには、地元の不動産会社へ直接訪問して相談、あるいは不動産売却の査定サイトなど利用して査定額の相見積もりをするなど、情報収集からスタートすることが定番です。
その後、不動産会社を選んで売却金額などを決定しますが、売却を依頼するためには媒介契約を締結しなければなりません。
後悔のないよう不動産を売却するためにも、媒介契約について知ることは非常に重要です。
この記事では不動産の売却における媒介契約の種類と特徴について解説します。
不動産用語には、「媒介」と「仲介」という言葉があります。
不動産の物件情報を紹介するサイトにおいても取引形態として、媒介または仲介と記載されていますが、どのような違いがあるのか、まずは用語の確認をしておきます。
結論から言えば、媒介と仲介の違いはほとんどありません。
不動産取引の分野においては、「媒介」は「宅地建物取引業法」で用いられる法律用語である。媒介は、売主(大家)と買主(入居希望者)の間を取り持って契約を結ばせる者を指す。
基本的には、「媒介」は「仲介」の同義語として扱われているといえる。
ただし「仲介」には法的な契約に絡むニュアンスが希薄であり、文脈によっては注意深く使い分けられる。
引用:「媒介(ばいかい)」 Weblio辞書
ただし実務上においては、
と、分けているケースも見受けられます。
つまり仲介は、売主と買主との間で取り交わされた取引に関する契約を、不動産会社がサポートする意味があり、媒介は売主と不動産会社との間で取り交わされた販売活動のための契約と考えると、わかりやすいはずです。
そのため媒介という言葉は、売主と不動産会社の間でしか使うことがない用語とも言えるでしょう。
そもそも不動産会社に、なぜ媒介や仲介をしてもらう必要があるのでしょうか?
売主と買主が契約に合意しているのであれば、お店で品物を購入するかのように、個人間で取引を進めた方がスピーディーではあります。
しかし実際のところ、不動産の売却においては、個人間での取引は非常にハードルが高いと言わざるを得ません。
不動産の取引には法律が絡むため、プロによる媒介によってトラブルを未然に抑える目的もあるからです。
この章では不動産会社が媒介するメリットについて解説します。
最も大きなメリットは、売主と買主が安心安全に取引できる点です。
不動産は、お店の商品とは異なり、金銭の受け渡しだけで所有権が移るわけではありません。
引渡しに関する条件について売主と買主との合意のもと、取引成立に向けて双方が準備を進める必要があります。
その準備には幾多の書類の整備などもありますが、期日までに条件が満たされなければ違約解除となるケースもあり、場合によっては取引自体が不成立となります。
最悪の場合、損害賠償請求に発展する可能性もあるわけです。
不動産会社が媒介することで、取引の成立に向けて動いてくれることは、さまざまなリスクを防ぐ目的も含まれます。
また、素人では判断できないような問題が起これば、不動産会社が宅建業法や民法など、関連する法令に照らし合わせて問題解決に動いてくれるので、労力の負担も軽減します。
このように、不動産の売却に不慣れな売主と買主が、安心安全に合意形成を進めていくために、不動産会社の媒介は必要不可欠だと言えます。
不動産会社は売主より、「確かに不動産売却の依頼を承った」という証が必要となり、その証が媒介契約となります。
媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があり、それぞれ特徴が違います。
媒介契約は、売主が希望する売却方法に応じて選択できるようになっているため、媒介契約締結前には全ての種類の特徴を把握しておくと良いです。
媒介契約の中で唯一、複数の不動産会社に依頼する事ができる媒介契約形態になります。
不動産の売却が計画通りに進むかどうかについては、依頼した不動産会社によりますが、一般媒介契約は複数の会社に同時に売却の依頼をする事ができるため、売却が成立する確率は高くなります。
また、不動産会社が情報を公開しない「囲い込み」という不正防止が可能です。
不動産会社としては有効期限、指定流通機構への登録義務、販売報告義務がないため、比較的責任の度合いは減るものの、同じ売主と媒介契約した他社が買主を見つけた場合は利益を得る事ができません。
そのため、一般媒介契約を売主に勧めることは少なく、一般媒介契約であれば積極的に販売活動をしない不動産会社も存在します。
複数の不動産会社に販売活動を依頼するという事は、売主が窓口になるという事になるため、案内の管理をする必要があるのです。
例えば、週末の内覧に関する連絡が、一般媒介契約した不動産会社から入れば対応しなければならず、売主側としては管理工数の負担がデメリットです。
一般媒介契約は、時間がかかっても確実に高く売却する強い意志、かつ不動産会社からの連絡に都度対応できるということであれば、選択の余地はあります。
一般媒介契約は複数の不動産会社と同時に販売活動について契約可能なのに対し、専任媒介契約と後述する専属専任媒介契約については、契約の対象は一社のみです。
有効期間が指定されており、最長で3ヶ月間となります。
3ヶ月よりも長い期間を指定したとしても3ヶ月間に短縮され、自動更新はできません。
そのため、不動産会社は期日までに売主に契約更新の合意を得る必要があります。
専任媒介契約では、国土交通省が指定する流通機構への登録が義務付けられており、媒介契約締結の翌日から7日間以内に登録しなければなりません。
また、売主への販売活動や状況についての報告も、2週間に1度のペースで行う義務が発生します。
不動産会社からすると一般媒介契約よりは法令による義務が多くなる代わりに、確実に売主側の仲介手数料を得る事がメリットです。
さらには買主を見つけて契約に至った場合は、買主からも仲介手数料を得る事ができるため、積極的に売却活動をするようになります。
しかし専任媒介契約は、売主自らも買主を探す事ができるため、売主が見つけた買主との契約においては、売主は仲介手数料を不動産会社に支払う必要はありません。
そのため、管理工数を減らし、かつ家族や知人に不動産を売却する可能性がある場合は、専任媒介契約の選択がおすすめです。
不動産会社との契約は1社のみとし、かつ買主を自己発見して取引できない契約形態が専属専任媒介契約です。
有効期限は専任媒介と同じく3ヶ月で、指定流通機構への登録は媒介締結から5日間以内、売主への販売報告は1週間に1度となります。
媒介契約において最も選択されている契約形態となっており、不動産会社もこの契約形態を薦めてくることが多くなります。
専属専任媒介契約を締結した売主に対して、特典を設ける不動産会社も多く、自己発見取引する予定がないのであれば専属専任媒介契約はオススメです。
ただし、専任媒介と同じように不動産会社は1社のみを選ぶ事となるため、信頼できる会社かどうかは慎重に選ぶようにしましょう。
不動産の取引においては、不動産会社の仲介による安心感や信頼感、トラブルの対応などリスクと引き換えに、仲介手数料の負担が発生します。
仲介手数料の計算方法は後述しますが、売買代金による変動性です。
また、仲介手数料の支払いは成功報酬となる為、原則としては決済時に支払う事になります。
ただし契約内容によっては、手付解除や違約解除の場合であっても契約自体は成立しているとみなされ、支払い義務が発生する事にもかりかねません。
仲介手数料の取り扱いについては不動産売買契約書もしくは媒介契約書に記載されているので、署名押印前にしっかり確認しておくようにしましょう。
売主が不動産会社に支払う仲介手数料は、国土交通大臣の定める報酬額の規定以下になりますが、殆どの不動産会社は規定上の満額を仲介手数料の報酬としています。
中には交渉に応じてくれる不動産会社もあるかと思いますが、宅建業法の定めにより仲介手数料以外の報酬を受けることが禁じられているのです。
そのため、収益源泉である仲介手数料を減額させる事は難しく、特典や法令制限以外の細かなサービスが受けられなくなることもあります。
仲介手数料を満額で貰い受ける事で不動産会社はプロとしての活動が維持できるため、なるべく満額で支払うようにしましょう。
尚、仲介手数料の計算方法は次の通りです。
仲介手数料は売却価格に応じて変わり、次のような計算式で求められます。
例えば、800万円で成約に至った場合、
不動産を売却する上で、媒介契約の選択は非常に重要です。
不動産会社としては専属専任媒介契約で締結して欲しいと思う一方、売主としては一般媒介が最もリスクを抑えて売却できる可能性は高くなります。
しかし売主においては管理の手間は増え、不動産会社も利益0となる物件に対し、広告費をかけるかどうかは悩む所でしょう。
売主と不動産会社がWin-Winの関係で媒介契約を締結するには、販売報告の内容や実際の販売活動に対し、売主が納得できるかどうかがポイントです。
もし不満があるのであれば不動産会社に是正を求め、聞き入れてもらえないのであれば3ヶ月後に解約し、別の不動産会社に依頼することをオススメします。
不動産売却を失敗しないよう、納得のいく売却金額と望んだ期間内で完了させるためにも、しっかりと不動産会社を見極めて媒介契約するようにしましょう。
ちなみに売却ではなく、熊本県・福岡県・佐賀県・大分県・神奈川県・千葉県での土地探しについては、リブワークのe土地netにお任せください。
また、熊本県・福岡県・佐賀県・大分県・神奈川県・千葉県で新築一戸建て(注文住宅)の建築を検討される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。