住宅ローンを利用してマイホームを手に入れたい場合、毎月の返済を滞りなく実行できる、無理のない返済プランを組むことが望まれます。
余裕のある返済プランだとしても、返済期間は長期にわたるため、その間に何が起こるかわかりません。
例えば、失業、病気やケガによる要介護状態によって就業不能、または収入が激減する事態も想定されます。
そのような事態に備えるために、団体信用生命保険への加入を条件にしている金融機関が多いです。
そこで今回は、多くの人に該当する住宅ローンの団体信用生命保険について説明をします。
団体信用生命保険とは、
といった不測の事態になった場合に、保証協会や保険会社が、融資をした金融機関に対して、契約者に代わり残債を全額支払うという保険です。
住宅ローン融資、事業資金融資などの場面でこの保険制度は利用されます。
一般社団法人全国信用保証協会連合会や独立行政法人住宅支援機構、保険会社などが運営しています。
なお保険の内容は、運営する保証会社、ハウスメーカー等ではなく、主に銀行が説明を行います。
銀行としては、住宅ローン返済中の人がローンの返済ができない状態となったとき、貸したお金が返ってこないという事態にならないようにしたいと考えています。
ゆえに、返済できないことを防止するため、ほとんどの銀行では団体信用生命保険に加入することが住宅ローンを貸す必須条件となるのです。
借りる側としても、万一のときには住宅ローンの返済の負担がなくなることを考えると、やはり必須であると言えます。
通常ならば債務というのは相続人に引き継がれますので、
といった事態になります。
このような不測の事態を回避する意味でも団体信用生命保険加入は重要事項です。
団体信用生命保険は融資金額が返済不能とならないようにするための保険契約です。
一方、生命保険の主な目的は、生存中あるいは遺族の生活を守るために、経済的な負担をできるだけ軽減するための保険契約です。
ゆえに、目的が全く異なるため内容も大きく違います。
団体信用生命保険は、借り入れした人が亡くなったとき、あるいは高度障害になったときなどは、住宅ローンの残債すべてがなくなります。
しかし、生命保険のように入院・通院・手術一時金などの保障はありません。
団信においては残債の額を問わず、すべてゼロになるということに特化した保険と言えます。
特約なしの団体信用生命保険の場合は、住宅ローンを契約している人が亡くなったとき、あるいは高度障害になったときに住宅ローン返済が免除されます。
特約を付けることで、契約者や家族の事情に適した内容にカスタマイズしていくことも可能で、以下のような特約が人気です。
夫婦どちらかが亡くなった場合、住宅ローン返済が全額無くなります。
がんや脳卒中、急性心筋梗塞になった場合で所定の条件を満たすときに住宅ローン返済が無くなります。
特約も団体信用生命保険の種類によって違いもあるので、比較検討がおすすめです。
団体信用生命保険の加入条件には年齢制限があり、一般的に満15歳以上満70歳の誕生日を迎えるまでとされています。
契約後は、80歳の誕生日を迎えるまでに住宅ローンを全額返済することも条件となるため、それを考慮すると70歳未満での加入が自然な成り行きとなるわけです。
ただし、疾病特約を利用を考えている場合は、50歳くらいを境に病気にかかる割合が急に多くなるため、50歳前後を基準に疾病特約の利用が出来なくなる傾向がありますので要注意。
現在の健康状態も確認され、告知することが加入条件となります。
ゆえに高齢になればなるほど団体信用生命保険の加入が難しくなるということです。
健康状態の告知を偽った場合は、告知義務違反となり保険契約は解除になります。
当然、保険金も支払われません。
保険金支払い後に虚偽告知が発覚した場合、契約年数によっては保険金返還請求をされる可能性もあります。
団体信用生命保険の告知はバレないというようなウワサ話を聞いたことがあるかもしれませんが、住宅ローンにおいては残債額は高額になりやすいため、ウソによって機能が果たせなくなるのは、非常にリスクが高いとしか言えません。
銀行から住宅ローンを受ける場合、団体信用生命保険の費用は住宅ローン金利の中に組み込んであり、団体信用生命保険料とわかる形で支払うケースはほぼありません。
最初から組み込んでいない場合は、住宅ローン金利に0.20%を上乗せとなるのが一般的です。
3大疾病保証付など特約を付ける場合も住宅ローン金利に上乗せされ、0.30%くらいが相場となります。
また、保証会社に対して保証料を支払わなければならないケースがあり、保証料の支払いは外枠方式と内枠方式に大別されます。
保証料を住宅ローン借入契約時に一括で支払う方法
保証料を毎月の金利に上乗せして支払う方法
(一般的には上乗せ0.20%)
外枠方式と内枠方式では、最終的に支払う保証料の金額に差が出ますので、必ず確認するようにしてください。
一般的には内枠方式の方が保証料総額が大きくなります。
また、保証料を取らない金融商品もありますので、保証料の負担の有無でどういった差があるのか細かい確認が必要です。
団体信用生命保険料の支払いについては、前述したように住宅ローンの中に組み込まれていますので、住宅ローンの返済をしていれば自動的に保険料を支払うことになります。
ゆえに支払いのタイミングは、毎月の指定された日、ボーナス払い時となり、住宅ローン返済用の口座からの自動引き落としということになります。
団体信用生命保険料は所得税の生命保険料控除の対象にはなりません。
所得税で控除可能なのは、保険受取人が自己または配偶者、その他親族とする生命保険契約等と定められています。
団体信用生命保険は受取人が銀行であるため、この内容からには適合しないためです。
生命保険料としての控除はありませんが、住宅ローン控除を利用することで所得税の控除を行うことができます。
住宅ローン控除については、
など所定の条件を満たすと、年間最大40万円の所得税控除が受けられます。
ただし、令和4年度の税制改正によって、条件が異なっている場合があります。
これから新築の建築、あるいは新築の購入予定がある場合は、国税庁、全日本不動産協会などのホームページの確認、もしくはハウスメーカー、不動産業者などへ問い合わせをしてください。
参照:令和4年度 税制改正大綱住宅・不動産関連の主な改正項目|公益社団法人 全日本不動産協会
住宅ローン契約時の団体信用生命保険への加入が任意であるケースもあります。
住宅ローンの中でも人気商品であるフラット35においては、団体信用生命保険の加入は任意です。
健康上の不安があり、団体信用生命保険の加入が出来ない人にとって、フラット35は住宅ローンの駆け込み寺と言えます。
しかし、銀行が取り扱う住宅ローン商品は、団体信用生命保険の加入が必須となっていることから、団体信用生命保険の加入の必要性の高さを見ることができます。
住宅ローンの借入が高額であればあるほど、銀行側からすれば全額回収できないリスク、借りた人からすれば不動産を売っても全額返せない事態を招くリスクからは逃れられません。
このようなことが起きないよう、リスクを担保する団体信用生命保険は、どの立場の人にとっても欠かせないものという認識になっているのです。
団体信用生命保険加入申請時には健康状態の告知があります。
質問事項として、
などがあり、回答しなければいけません。
この質問事項に該当してしまうことが1つでもあると、団体信用生命保険に加入できなくなる可能性が高くなります。
この質問に該当する人は以下の方法で対応できることもあります。
ワイド団信とは一般の団体信用生命保険より保険加入審査が緩和されたものです。
ワイド団信に加入する場合、住宅ローン金利が0.20%程度上がることになりますので確認の上、判断してください。
生命保険で代用する判断は非常に難しいため、必ず保険会社、または保険代理店と入念に相談を行うようにしたいものです。
団体信用生命保険の保障内容は原則として途中で変更することはできないため、申込の際は疾病特約など、本当に必要なものかを確認してください。
変更を認められる場合もあるようですが、その際は再度、住宅ローン借入の審査、健康状態の告知などを行われると考えた方が良いです。
その結果、借り入れ条件が悪い方向へ変更せざるを得ない、ということも出てきますので、金融機関に相談するなど慎重に検討してください。
団体信用生命保険は融資を受けた人が死亡、高度障害などで返済できなくなることを防止する保険です。
通常の債務は、お子様や遺族に相続されて引き継がれてしまうため、団体信用生命保険によってリスクを軽減します。
住宅ローンは一般的に数千万円レベルの高額な債務です。
ゆえに融資を受けている本人に万一のことがあり、家族が引き続きローンを支払うというルールならば、経済的負担の大きさによって生活が破綻するリスクも増します。
そのような事態を防ぐためにも団体信用生命保険の必要性は高く、ご自身だけでなく家族も守る保険ですので理解を深めていただき、住宅ローンを利用する際には参考にして頂ければと考えています。
また、新築のための土地探しと住宅プランを検討している方へ、家ができるまでの流れを説明することは、ハウスメーカーとしては重要事項です。
その際に、資金計画や住宅ローンに関する情報提供もある程度は可能ですので、遠慮なく弊社リブワークヘご相談ください。
本記事では、団体信用生命保険に関して一部を紹介したに過ぎず、情報の正確性には努めていますが、その内容を担保するものではなく、一切の責任は負いません。
よって具体的な相談等は、保険会社などへ、お問い合わせください。