新築の家を検討する際、不動産情報サイトなどでは不動産特有の専門用語を目にすることが多くあります。
特に新築の場合は、土地の形状、法律上の制約、前面道路との関係などで建てられる家が変わってきます。
法律上の制約というのは、主に建築基準法です。
この記事では建築基準法を中心に、新築の建築および分譲住宅の物件情報の読み取りに役立つ、専門的な用語の解説をいたします。
専門用語への基礎知識があるかないかで、新築住宅の建築や購入における検討の幅も変わります。
普段、接することがない言葉だからこそ、ひとつでも多く知ってもらえると幸いです。
この章では、不動産情報サイトなどでよく見られる物件情報の専門的な用語の説明をいたします。
不動産には、さまざまな専門用語があり、すべてを紹介することはできませんが、代表的な用語に絞ってお伝えします。
地目とは土地の現在の状況や利用目的に応じて定められる区分のことです。
宅地、田、学校用地など23項目に分かれており、土地の地目が「宅地」であれば家を建てることが可能だという意味を示しています。
分譲住宅においても「宅地」と書かれていますので、機会があれば確認してみてください。
地目が田や畑であれば、建築可能にするために所定の手続き(地目変更登記)を経る必要があります。
市街化区域は街としての機能を促進する区域であり、市街化調整区域は逆に抑制する区域です。
特に市街化区域に関しては、福岡市の公式ホーページを参照すると、
と書かれています。
特に注目すべきは「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」という言葉です。
土地の購入や住宅を建築する場所が市街化区域ならば、街の未来が変わっていく可能性があります。
詳しくは役所の都市計画課またはインターネットで情報を得ることができるので参考にしてください。
市街化調整区域には、基本的に家を建てることはできません。
あまり見る機会はないかもしれませんが、知っておくべきです。
通常、土地を購入するときには、建物は自由に建築することができます。
ところが建築条件付き売地は、土地として販売していますが、売買契約をした後、一定期間内に指定のハウスメーカーで家を建てることが決められているのです。
そのため、通常の建売物件とは逆で、売建物件と呼ばれます。
借地とは、他人から借りている土地です。
それを借りた人は、その土地に建物を建てるなどして利用することができます。
土地を借りる契約は賃貸借契約となります。
また、借地に建物を建てる際に適用される法律は借地借家法です。
土地を借りる人を保護する法律となり、契約期間は、最初は最低でも30年で、1回目の更新が20年、2回目以降が10年となります。
上位期より短い期間を定めることはできません。
次に、土地の項目で必ず掲載されている用途地域について説明いたします。
用途地域によって、建築できる建物の種類や高さが変わります。
13種類に分類されていますが、本テーマの主旨から住宅建築が可能な用途地域についてのみ、お伝えすることにします。
低層住居専用の地域であり、高さが10mまたは12mの住宅を建築できます。
また店舗兼住宅の床面積が50㎡以下との制限があります。
この地域では閑静な住宅地が多いイメージです。
こちらも低層住居専用の地域であり、高さが10mまたは12mの住宅の建築が可能です。
ただ、店舗も床面積150㎡まで建築できるため、第一種低層住居専用地域より活気がある街が多い印象となります。
高さの制限はなくなり、2階または3階建ての戸建て住宅やアパートの建築が可能です。
ショッピングなどの商業施設も充実する地域になっていることが多いため、非常に利便性が高く住みやすい住宅地とも言えます。
高さの制限はなく、住宅のほか、2階建て以内ならば1500㎡以内で店舗や事務所の建築もできます。
ゆえに大型の商業施設やオフィスも近隣にあることから、場合によっては職場とのアクセスなどに都合が良い状況が生まれやすくなります。
高さの制限はなく、住宅のほか、店舗や事務所、ホテル、学校なども建築することができます。
また警察署、税務署、郵便局も建てられる地域のため、治安の面で安心感が持てる環境です。
高さの制限がなく、住宅のほか、カラオケボックなど娯楽施設も建築することができる場所になります。
高校や大学も建てることができるので、通学に関しても利便性の良い街並みとなりやすいです。
高さの制限はありませんが、国道沿いや幹線道路沿いに住宅が広がっていることが多い地域です。
道路事情によっては騒音、交通事故も気になる場所でもあるため、土地の購入や住宅の建築の折には、近隣を実際に訪れてみることをおすすめします。
高さが10mまた12mの住宅と制限されており、農産物の直売所や農作物を使ったレストランなども建築が可能です。
比較的新しい用途地域で、農地または農業関連の施設との調和を根苦的とした場所になります。
準住居地域に比べてより制限が緩和されており、高い建物が目立つ地域となります。
住宅も建てられますが、小さな工場、商店街などもあり、建物の種類が豊富な場所です。
その名の通り、店舗や事務所、商業施設が集まる地域です。
住宅も建築できて利便性に優れていますが、土地の金額が高くなる傾向にあるため、戸建て住宅用としては手が出し辛く、どちらかと言えばマンションの建設に向いています。
小規模工業、店舗、事務所など、さまざまな種類の建物が集まっている地域ですが、住宅の建築も可能です。
建物の種類が多くなる場所でもあるため、雑然とした感じは否めない印象があります。
その名の通り、大小の工場が立地している場所です。
住宅も建築できますが、学校や病院の建築はできないなど、個人の住まいにマッチするかどうかは難しいと言えます。
用途地域について説明いたしましたが、付随して建ぺい率や容積率という建築におけるルールを示す用語も存在します。
購入した土地の面積と同じサイズの住宅を建築できるというわけではありません。
前述した用途地域によって建築のルールが変わりますが、ここでは用語の説明だけに留めておきます。
建ぺい率とは、建物の建築面積の土地面積に対する割合です。
建築面積とは、建物を真上から見た時の外周の柱、または外壁の中心線で囲まれた面積のことを指します。
具体的には、建ぺい率60%の地域では、土地の面積に対して60%の面積部分にしか住宅を建てられないという意味です。
角地など道路に複数接している土地は、建ぺい率が10%緩和されるなどの特例もあります。
また、建ぺい率の条件については、用途地域によって制限が変わるということだけ、覚えておいてください。
容積率とは、建物の延べ床面積の土地の面積に対する割合です。
延床面積とは、2階建てならば1階と2階の合計床面積のことを言い、その合計床面積を容積率という数字によって制限するということを意味します。
容積率の条件についても、用途地域によって制限が変わるということだけ、覚えておいてください。
建物の高さ制限には、道路の反対側からの距離による道路斜線制限や都市計画で定められた高度地区の制限などがあります。
最後に、不動産の取引における不動産業者、つまり宅建業者との関わり方を示す用語について説明いたします。
仲介とは、買主と売主の間を取り持つ関わり方です。
買主と売主の間に仲介役として不動産業者が1人存在する場合や、買主および両方に別の不動産業者がついている場合があります。
用語の通り、プロの不動産業者が間を取り持つので、取引がスムーズに進むメリットがありますが、仲介業者に依頼した場合は、仲介手数料の負担が発生します。
なお、仲介の形態は、以下の3種類です。
土地探しなど、複数の不動産業者に仲介を任せるとき、一般媒介契約を結びます。
また、依頼者は仲介を依頼した業者を通さず、自分で取引相手を探すこともできます。
専任媒介契約とは、1社だけに仲介を任せる契約方式です。
一般媒介契約のほうが有利にみえますが、業者側からすると自社だけを信頼している証にもなるため、成約させようと迅速に対応します。
ただし、自分で取引相手を探すことも可能です。
自分で取引相手を探すのが禁止されている契約スタイルです。
この契約では、専属で仲介を行う分、不動産業者には報告義務など厳しい取り決めがあります。
仲介と混同しやすいですが、代理は売主から販売を任されているため、買主からすれば売主と取引することと同等の意味となります。
基本的に、買主には仲介手数料は発生しません。
しかし、取引内容によって手数料がかかる場合もありますので、事前に確認しておいたほうが良いです。
売主とは、販売する土地や住宅を所有している、プロの不動産業者を言います。
売主から直接、買主が購入する場合は、もちろん仲介手数料はかかりませんが、現実としてプロと直接取引することが難しい状況も想定しておくべきです。
そのようなケースでは、買主は相談できる相手が居ないので、大きなデメリットとなる恐れもあります。
今回の記事では、新築の分譲住宅や土地を検討および購入する場合において、知っておいたほうが良い専門用語をついてお伝えしました。
初めて不動産を取引する場合、専門用語が多くてわからないという理由で、取引の満足度が下がることは避けたいところです。
建築基準法については、事細かく把握する必要はありませんが、ある程度の知識を蓄えておくことは、土地選びや新築住宅の検討において損はありません。
また物件情報が、より深く理解できるようになれば、選ぶ目線も変わってくるはずです。
是非、参考にしてください。