住宅ローンの低金利化により、マイホームを建てるなら今がチャンスと考えるのは、自然な成り行きです。
その中でも、地球環境のことを考えたエコな住宅や、長持ちする設計についての情報を拾う機会も増えているはずです。
実は、そのような住宅にすることで、税金の控除や補助金の給付など、特典が得られることがあります。
その最たる例が、「ZEH(ゼッチ:以下、ZEH)」と「長期優良住宅」です。
さまざまなメディアを通じて、言葉だけは聞いたことがある、あるいは知っているという人もいるかもしれませんが、詳しい内容や違いについては、なかなか理解が追い付かないことも。
今回は、この2つについて違いを比較し、詳しく紹介していきますので、マイホームを検討している方はぜひ参考にしてください。
この2つの違いは非常にシンプルに考えて良いです。
「省エネ性能が高い住宅」とは、太陽光パネルの発電を活用して光熱費をゼロまたは安くするタイプの住宅のことです。
「長持ちする家」とは、省エネ性能、耐震性能がある程度高めで、メンテナンスもしやすい住宅のことです。
ZEHとは、
でエネルギー収支ゼロを目指す住まいです。
地球環境の維持にもなることから、建売業者や住宅メーカーは、このZEHを基準にしたプランをラインナップしているところが増えています。
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するため、大きく分けて以下の措置が取られている住宅のことです。
このすべての措置を講じて行政庁に申請すれば、長期優良住宅として認定を受けることができます。
ここでは「ZEH」についてさらに詳しく説明します。
用語自体は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を略していて、経済産業省では、
2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す
という「ZEHロードマップ」を策定しています。
定性的な定義としては、戸建住宅において、
というものです。ZEHは国を挙げての取り組みと言えます。
日本の2030年のCO2削減目標は、家庭からのCO2排出量を4割、正確には2013年度比でマイナス46%としています。
このために、住宅の省エネ性能の向上を図り、戸建住宅や集合住宅によるZEHの普及を促進する必要があります。
ZEHの主な目的は、一次エネルギーと言われる石炭や石油、太陽光、天然ガスなどの使用をゼロに抑えることで地球温暖化を防ぎ、環境を守ることです。
究極のZEHは、一切の冷暖房の設備無しに断熱の性能だけで、四季を通じて快適に暮らせる住まいと言えます。
ZEHの条件には、わかりやすい言葉に置き換えると、主に下記の2つがあげられます。
具体的には、一般社団法人環境共創イニシアチブが定めている以下の全てに適合することが必要です。
参照:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会 2021
つまり、快適な空気を逃さない気密性の高い住宅で、室内からの熱を逃がしにくくするなど、省エネ効果が期待できる住宅でなければなりません。
再生可能エネルギーの導入は、主に太陽光発電システムを設置することを指しています。
効率良く創エネルギーの役割を果たすのが太陽光発電システムなのです。
住宅を新築、あるいは新築の建売住宅を購入する場合、所有者が自ら居住する戸建て専用住宅であり、登録されたZEHビルダーが設計、建築、改修または販売を行うZEHの基準をクリアした住宅を条件に、補助金を受けることができます。
条件によって異なりますが、60万円~105万円の補助金を受け取ることができます。
ここでは、ZEHのメリット・デメリットについて説明します。
ZEHとは、「断熱」「省エネ」「創エネ」でエネルギー収支をゼロにする住まいです。
これにより光熱費を大幅に抑えることができます。
断熱性を高めている家は、外に熱を逃がしにくく家の中の温度を一定に保ちやすいのが特徴です。
これにより、冬でも室内の温度が温かく感じることができ、ヒートショックや体調の悪化を防ぐことができます。
思わぬ自然災害で急に停電になると生活に支障がでます。
しかし太陽光システムを導入していていると、停電時にも非常用コンセントから発電した電気を使用することができます。
ZEHは、性能を高める為の省エネ・創エネ設備が必要になります。
そのため、これらの設備を導入するための初期設備費用が必要です。
ZEHの基準を満たすために、外観や間取りに制限がでることがあります。
例えば、十分なエネルギー確保のために大型の太陽光パネルを設置しようとすると、場合によって屋根の形が限定されてしまう場合があります。
また、エネルギー消費量を抑える為に、部屋の間仕切りを設置したりLDKを狭くしたりしなければならないという制約も考慮しなければなりません。
太陽光発電は、雨の時はもちろん日照時間が短い冬の時期は発電量が大きく減ります。
冬の寒い時期は暖房やヒーターを使う機会が増えるので影響は大きいです。
ここでは「長期優良住宅」についてさらに詳しく説明します。
長期優良住宅の制度概要として、国土交通省のホームページには、
と記されています。
認定においては新築だけでなく、増築・改築も対象です。
新築の場合における長期優良住宅の認定基準と、考え方を紹介します。
数世代にもわたり住宅の構造躯体が使用できること
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
必要な断熱性能などの省エネ性能が確保されていること。
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
別途、基準の内容は細かく設定されていますので、ハウスメーカーなどに相談や問い合わせをしてみてください。
2021年2月に閣議決定した長期優良住宅普及促進法の改正案を受けて、国交省は「長期優良住宅認定基準の見直しに関する検討会」を設け、認定基準の見直しに着手しました。
最新の検討会は令和3年12月20日に開催されています。
特に注目すべきは、令和3年9月16日の内容で、省エネルギー対策の強化で、その基準はZEH相当の水準に引き上げる改正案が検討されています。
長期優良住宅にすることで、税金面で様々な優遇をうけることができます。
住宅ローン減税の控除対象借入額は、一般住宅4000万円に対し長期優良住宅は5000万円となり、減税額は最大500万円に拡大します。
自己資金のみで購入する人は上記「1」の優遇制度が利用できないため、その不公平性の解消のため投資型減税が導入されました。
内容としては性能強化費用として支出した額の約10%、最大65万円を所得税から控除するものです。
登録免許税の保存登記は、0.15%から0.1%になり、移転登記は0.3%から0.2%に軽減されます。
不動産取得税は控除枠が100万円拡大し、固定資産税については、軽減の期間が一般住宅よりも2年長い5年になります。
長期優良住宅には税金面以外にもメリットがありますので紹介します。
フラット35を組む場合、住宅ローンの金利が優遇されます。
また、フラット35Sが適用になればさらに借入金利を下げることができます。
地震保険の割引対象にもなります。
耐震等級2以上を満たしていると20%の割引率、耐震等級3の場合は30%の割引率になります。
国交省の採択をうけた中小工務店で木造住宅を建築することを条件に、地域型住宅グリーン化事業の「長寿命化」に関わる補助金として最大110万円を受け取れる可能性があります。
逆にデメリットもいくつかあります。
長期優良住宅の建築の着工に時間がかかったり、申請の費用がかかったりすることです。
長い目で見れば、長期優良住宅の建物にするメリットの方が大きいです。
今回は、ZEHと長期優良住宅の違いについて説明しました。
それぞれ認定基準をクリアするために費用負担が増える、建築期間が長くなるなどデメリットはありますが、節税や補助金、低金利の住宅ローンの活用など、メリットも多い制度です。
長い目で見れば資産価値が大きく崩れるリスクも少ないでしょうし、丈夫で長持ちする家として、子どもや孫の代まで使える可能性もあります。
新築の際に、ZEHや長期優良住宅も検討してみたい場合は、お問い合わせからどうぞ。