住宅購入を検討するとき、何を重視すると良いのでしょうか?
立地はもちろんのこと、家の広さ・間取り・予算など、色々と考えることや希望があり、条件の優先順位付けが一番難しいところです。
外観やデザインなど、注文住宅ともなると大切な部分ではありますが、それ以上に無視できないことがあります。
それは住宅の性能です。
自動車に燃費などの性能があるのと同じように、住宅にも性能という考え方があります。
本稿では、住宅性能を数値化し、一定基準を満たす長期優良住宅について、メリットやデメリットも踏まえて基礎的な部分を解説していきます。
土地探しと並行して、長期優良住宅のことを知っていただけると幸いです。
国土交通省の公式サイトでは、
長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅
と表記されています。
砕けた言い方となりますが、「住宅性能が高く、かつ長く住み続けられることについて、国からお墨付きを得た住宅」とのイメージを持って頂ければ十分です。
国土交通省の文言にある「良好な状態で使用するための措置」については、
と大きな括りではありますが、この4つを指しています。
実は、長期優良住宅制度ができた背景の一つは、空き家の問題が発端となっています。
少しでも長く住み続けられる住宅を普及していきたい、そのような想いから長期優良住宅認定制度は誕生しました。
では具体的に長期優良住宅とはどのような住宅なのか、主な認定基準について簡単に説明します。
一戸建ての新築においての認定基準は、
となっています。
マンションなど共同住宅においても認定基準はありますが、本稿では省略します。
認定基準の中でも特徴的なのは1~3です。
まず1. 劣化対策においては、劣化対策等級3以上の水準が求められます。
例えば木造住宅においては、点検口を所定数設けるなどがあり、使用する材料についても基準があります。
次に2. 耐震性とは、耐震等級2以上もしくは免震構造を有していることを指します。
近い将来、大地震が予測されている日本において、この建物強度についての基準が設けられていることが、長期優良住宅の大きな特徴です。
なお弊社(株式会社LibWork)の無印良品の家は、耐震性に優れたSE構法による構造で作られているため、長期優良住宅に標準対応しています。
最後に3. 維持管理・更新の容易性ですが、維持管理対策等級3以上の水準が求められます。
分かりやすい例だと、配管にメンテナンスし易い部材を採用する必要があり、かつメンテナンスを必要とする部材については、点検し易い位置に配置することが求められます。
長期優良住宅は、建物が長持ちするように設計されているということを、ここまでお伝えしました。
次に、長期優良住宅のメリットとデメリットについて、それぞれ説明します。
長期優良住宅というネーミングだけに、デメリットは考えにくい印象を持たれるかもしれませんが、メリット以外も知ることで、安易に考えることがないようにしましょう。
メリットについては、省エネや耐震性などのさまざまな認定基準をクリアしているため、住宅の性能においては申し分ありません。
住宅性能以外のメリット、特に経済的メリットについて挙げると、
以上の項目となります。
まず建物を取得した際にかかる不動産取得税については、一般住宅の場合では1,200万円までの控除ですが、長期優良住宅においては1,300万円に拡大されるため、負担が減ることになります。
また、住宅を購入すると毎年支払うことになる固定資産税も、一戸建てであれば最初の5年間(通常は3年間)は半額です。
登録免許税も税率が引き下げられ、所有権の保存登記や移転登記にかかる費用なども安くなります。
投資型減税については、後述する住宅ローン控除との併用はできませんが、自己資金のみで住宅購入した際に、最大65万円が所得税から控除されます。
この投資型減税は、長期優良住宅の認定基準を満たすために負担した費用の10%というルールが存在しますので、詳しくはハウスメーカーなどへお問い合わせください。
控除対象借入限度額が緩和され、一般住宅であれば4,000万円が限度額ですが、長期優良住宅であれば5,000万円まで拡大されます。
つまり年間控除額は50万円となり、最大控除額は10年間で500万円です。
住宅ローンにおいては「フラット35S」の適用が可能であれば金利が引き下げられ、
上記の期間、優遇金利となります。
長期優良住宅を新築する場合は、地域型住宅グリーン化事業(長寿命型)の補助金を利用できる可能性がありますが、いくつか注意すべき点があり、詳細については次章で。
地震保険料が割引されます。
長期優良住宅に限らず、地震保険は耐震等級によって割引される仕組みとなっています。
耐震等級2以上を満たしている長期優良住宅の地震保険料割引率は以下のとおりです。
長期優良住宅の認定があれば、売却となったときに、他の物件よりも住宅性能にアドバンテージがあることを宣伝できるため、高値が付く可能性があります。
証拠として書類など必要なため、無くさないよう大切に保管しておきましょう。
長期優良住宅を建てることによるデメリットもいくつかあります。
以下の点には要注意です。
長期優良住宅の申請には、お金と時間が必要です。
申請には専門的な書類を準備する必要があるので、建築士やハウスメーカーに依頼することになりますが、代行手数料は20万円~30万円が相場になります。
また、申請してもすぐに認可が下りるわけではなく、結果については長くて1カ月程度を要します。
認可が下りるまでは着工が出来ないため、申請を見越した建築計画を立てることが一般的です。
引き渡しを終えて居住し始めた後も、計画に沿った維持保全措置、つまり定期的なメンテナンスの実施が求められます。
維持保全を計画通りに実施していない場合、改善命令が出され、最悪の場合は長期優良住宅の認定が取り消される可能性もあります。
長期優良住宅を建てると補助金が利用できる可能性があることは前述しました。
対象は、地域型住宅グリーン化事業(長寿命型)の補助金で、基本額は110万円(ビルダーによっては100万円)です。
若者・子育て世帯加算や地域材加算など、要件を満たせば追加の補助金を受け取れます。
本章では補助金利用における注意点をお伝えします。
申請可能なのは、原則、中小建築業者などで形成するグループに属している業者に限定されます。
>弊社(株式会社LibWork)は、「無印良品の家・ネットワークパートナー近畿会」に所属している長期優良住宅ビルダーです。
留意したい点としては、補助金の枠はグループ単位で与えられています。
グループで補助金の枠を確保している場合は申請可能なため、申請を希望する場合は早めに弊社(株式会社LibWork)に相談してください。
長期優良住宅の認定を受けるための申請、基準を満たす仕様によるコストアップが避けられないことから、業者選びは重要です。
本章では、業者選びにおける注意しておくべきポイントをいくつか紹介します。
経験豊富な業者を選ぶことが最優先されます。
長期優良住宅の建築においては、耐震構造や省エネルギーなど、一定の技術レベルを必要とします。
不慣れな業者に任せると、いつまで経っても認定されず着工できないといったリスクが発生し、大幅にスケジュールがズレ込むだけでなく、余計なコストが積み上がる可能性も否定できません。
工事段階においても一般住宅と比較して気を配る箇所が多いため、施工する職人さんによって、歴然とした差が発生することもあります。
工事が円滑に進み、且つ間違いのない施工を期待できるのは、実績のある業者です。
一般社団法人住宅性能評価・表示協会の公式サイトでは、長期優良住宅認定制度の利用実績がある工務店、設計事務所、ハウスメーカーが検索できます。
長期優良住宅においては、申請時に建物の維持保全に関する計画を提出する必要があり、住み始めてからも計画に従ってメンテナンスを実施することが求められます。
この定期メンテナンスを怠ると、長期優良住宅の認定が取り消されることもあると、すでにお伝えしましたが、建築を依頼した業者がメンテナンスを実施するため、引き渡し後も付き合いが長いものになります。
ゆえに長期優良住宅を建築する際は、建築業者と末永い付き合いになるということを念頭に入れて選ぶことも重要です。
見積もりの段階から、長期優良住宅のメンテナンスについての体制や実績を示してもらうようにしましょう。
長期優良住宅のまとめとしては、
ということになります。
長期優良住宅は、同じく国に推奨されているZEH(ゼッチ)と比較されることがあります。
大きな違いは、ZEHが省エネに特化した住宅であるのに対し、長期優良住宅は省エネや強度など、全体のバランスを重視した住宅であるということです。
今後、マイホーム建築や購入を検討する際は、より安心感のある長期優良住宅を検討してみるのもオススメです。