土地購入には購入代金以外に、いくつかの諸費用を要します。
土地によっては、諸費用が数百万円と生じる可能性も。
土地購入後に、予期せぬ諸費用で予算が足りないとならないように、どの項目に、いくら費用がかかるか事前に総枠で把握しておくことをおすすめします。
本記事では、代表的な諸費用について、支払うタイミングと合わせて紹介します。
ざっくりと概算で知りたい場合は、
を目安にすると良いです。
例えば、土地代金が2,000万円であれば、諸費用は200万円というイメージです。
諸費用200万円は、土地購入時と購入後に支払うものがありますが、まずは、土地購入時に必要な諸費用について挙げてみます。
仲介手数料とは、土地仲介業者に払う報酬です。
通常、土地購入時には、購入者・所有者・仲介業者が携わります。
仲介業者には、購入者と所有者の間を取り持って、契約を円滑に進める役目があり、契約が成立した際に、仲介業者に報酬を支払うことになります。
契約が成立しなければ、仲介手数料は発生しません。
つまり、仲介手数料とは、不動産業者側からすると成功報酬になります。
なお、仲介手数料は宅地建物取引業という法律で上限が定められており、土地代金によって支払う報酬額は違い、以下の算出式で求めることができます。
例えば、3,000万円で販売されている土地は、105万6千円の仲介手数料が必要になります。
ちなみに、土地所有者が建築メーカーなどであれば、仲介業者つまり不動産業者の介入がないので、仲介手数料が発生しない場合があります。
印紙税とは、特定文書に課税される税金です。
一般的に、契約書を交わすことで土地契約は成立しますが、この契約書が課税文書に該当するために、印紙税の負担が必要となります。
印紙税は、契約書に記載されている物件販売価格によって、納税する金額が変わります。
納税額は、以下の通りです。
記載価格 |
本則税率 |
軽減税率 |
10万円超~50万円以下 |
400円 |
200円 |
50万円超~100万円以下 |
1千円 |
500円 |
100万円超~500万円以下 |
2千円 |
1千円 |
500万円超~1千万円以下 |
1万円 |
5千円 |
1千万円超~5千万円以下 |
2万円 |
1万円 |
5千万円超~1億円以下 |
6万円 |
3万円 |
※平成26年4月1日~令和4年3月31日までに交わされる契約書は、税率が引下げられ軽減税率が適用されます。
なお、原則、印紙税は収入印紙により納付します。
納付忘れの場合は、過怠税金を徴収されることもあるので、注意しましょう。
登記とは、土地購入の際に、土地の物理的状況や権利を明らかにするためにするものです。
登記情報は、法務局で管理されており、登記簿謄本を取得することで誰でも確認できます。
登記にはいくつか種類がありますが、土地購入の際にかかる登記は、所有権移転登記と抵当権設定登記です。
所有権移転登記とは、前の所有者から新たな所有者に所有権を移すための登記で、法的効力を持って権利を主張することができます。
抵当権設定登記は、金融機関から住宅ローンを借り入れて土地を購入する際に必要な登記です。
抵当とは担保のことで、ローン返済が滞ったときに、その土地を担保とすることで、貸倒れというリスク回避をしています。
これらの登記を行うためには、費用がかかり、登記費用は登録免許税と司法書士へ払う報酬で構成されます。
例えば、所有権移転登記の場合、「固定資産税評価額×2%」という計算式で納税額を求められます。
(2023年3月31日までの登記であれば、軽減措置が適用可能。)
出典:令和3年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ:法務局
司法書報酬は、担当する司法書士によって違うので、最寄りの司法書士事務所へ確認してください。
住宅ローン借入時に、金融機関へ支払う手数料です。
名称は、金融機関ごとに異なり、取扱事務手数料・融資事務手数料という表現をされることもあります。
費用は、「一律50,000円」や「借入金額×2.2%」というように、金融機関によって様々です。
住宅ローン借入時、保証会社へ払う費用です。
通常、住宅ローンを借り入れる際は、保証会社と保証契約を結びます。
保証契約とは、債務者に万一、ローン返済が滞った際に保証会社にローンを弁済してもらえる仕組みです。
ですが、保証会社がローンを返済したからといって、債務者の返済義務がなくなるわけではありません。
返済元が金融機関から保証会社へ変更となり、住宅ローンは返済し続けていくのです。
保証料の費用は、返済年数や借入額によって、大きく変化します。
場合によっては、100万円以上の費用がかかることもあります。
金融機関によって、保証料が不要なところもあるので、検討している金融機関に確認してください。
土地購入にかかる諸費用は、購入時のみに発生するわけではありません。
土地購入後にも、さまざまな費用がかかる場合があります。
費用が大きくなりやすい土地と、費用がかかりにくい土地があるので、購入時にどの程度の金額を予算に入れておけばよいのか、確認することを忘れないようにしたいものです。
土地に対して、地盤改良工事が必要と判断された場合に生じる費用です。
地盤に建物を支えられるだけの固さなければ、時間が経つにつれ建物が沈んだり、傾いたりするリスクが発生し、安全性で問題となります。
そのような場合、地中に杭を入れていくなどの方法で地盤補強をし、建物の水平性と安定性を保ちます。
補強が必要かどうかは、調査会社が試験を行い判断します。
代表的な改良方法として、
などがあります。
高額な改良方法だと100万円以上、費用がかかるケースがあるので、事前に予算に入れておくと安心です。
上下水道、ガスなど生活基盤となるインフラを敷地内に引込むために生じる費用です。
上下水道が敷地に引込まれているかどうかは水道局で確認でき、引き込まれていない場合は、別途、工事費用の負担が発生します。
引込み費用は、前面道路のどの位置に水道本管があるかなど、諸条件によって変化します。
引込み費用が数10万円の場合もありますが、100万円以上かかる場合もあるので、水道局への事前確認や不動産業者から近隣の土地における工事の有無について情報を得ておくと良いです。
ガス引込みについては、一般的にガス会社負担となります。
しかし、あまりにもガス本管が敷地から離れている場合は、工事費を実費で払うこともあります。
土地を購入する際は、諸費用の他にも税金を納めなければいけません。
税金は、購入時に払うものと購入後も土地を所有している限り払うものがあります。
土地を取得するときのみ納税するものです。
土地を購入すると地方自治体から納付書が送られてくるので、その納付書で納税します。
納税額は、以下の式で求められます。
なお、令和6年3月31日までに取得した土地は、固定資産税評価額が1/2に減額かつ税率が3%に引下げできるという軽減措置があります。
軽減措置を適用させるためには、土地を取得してから3年以内に、その土地に住宅を新築しなければいけないという条件があります。
購入後、毎年納める税金です。
毎年、1月1日時点での所有者に対して、4月~5月頃に納付書が地方自治体から郵送されます。
一括払い、分割払いと選択できることが特徴です。
納税額は、一般的に以下の式で求めることができます。
土地が住宅用地の場合は、土地面積の200㎡までは固定資産税評価額が1/6に軽減されるという措置があります。
なお、固定資産税の税率は地方自治体で定められ、お住まいの地域によっては1.4%以上ということもあります。
市街化区域に該当する土地を購入した際に、毎年納める税金です。
市街化区域とは、すでに市街地として形成されている地域か、もしくはおよそ10年以内に市街地として形成される予定がある区域のことを指します。
一般的に、住宅が立ち並んでいるような街は、市街化区域と考えてよいでしょう。
納税額は、以下の式で算出できます。
なお、固定資産税と同様に、税率は地方自治体によって異なる場合があります。
【注意事項】
e土地netにおいては、福岡県、熊本県、佐賀県、大分県、神奈川県、千葉県の土地情報をカバーしています。
税金については、それぞれ各自治体の公式ページ等で確認してください。
紹介してきた諸費用や税金以外にも、特別な事情が発覚した場合に対して必要となる費用ですので、豆知識としてお伝えします。
あくまでもレアなケースです。
井戸の埋め戻し、その土地の過去の出来事、方角や風水など気にする場合は、お祓いで清めることがあります。
古家付きでは神棚や仏壇が設置されていた形跡があると、取り壊し時にお祓いをすることで、安心を得ることも珍しくはありません。
お祓いの相場は5万円前後を見ておくと良いですが、不動産業者または神社などで相場の情報収集をおすすめします。
土地を購入した後、建物の工事がはじまるまでには時間があります。
その間、土地には雑草が生えるので、工事開始前には、草刈りをする必要があります。
草刈りごときと考えがちですが、空気が乾燥する時期では、草が擦れあって自然発火するレアケースもありますので、意外に軽視できない作業です。
草刈り費用は、土地の広さで価格設定をしている業者がほとんどで、一応の目安としては、15坪で3万円前後みておくといいでしょう。
以上、土地を購入するときに、購入代金以外でかかる諸費用について、紹介いたしました。
諸費用には、購入時にかかるものと購入後にかかるものがあります。
諸費用によっては、住宅ローンで借入できないものもあるため、手元に現金を用意しておくことを忘れないようにしたいものです。
諸費用は現金払いが多いため、慌ててATMで引き出すことなどないよう、事前に準備するようにしましょう。