建築資材の高騰と、省エネ基準適合義務化(2025年4月以降着工の新築)による初期コストの負担増で、新築の総費用は上昇傾向にあると考えます。
2030年には省エネ基準がZEH水準へ格上げ予定であり、住宅の高性能な省エネ化が進めば、費用負担はさらに大きくなる可能性があります。
少しでも負担を軽減するためにも、補助金制度や税制・金融の優遇措置の情報収集は欠かせません。
特に立地の良いエリアでは土地の相場も高くなるため、予算の組み立てや資金計画には、慎重に行いところです。
そこで今回は、令和6年度に実施された主な補助金・優遇措置について、お伝えします。
ただし、令和7年度版においては内容の追加・変更・廃止(事業そのものも含む)の可能性もあるため、逐一、最新情報の有無を確認するようにしてください。
前述のように、省エネ基準適合義務化と2030年のZEH水準への省エネ基準のレベルアップから、省エネ性能の高い住宅が一般住宅となる世の中へと変わりつつあります。
省エネ住宅は建築コストが高いという現実をみて、これまで国や自治体はさまざまな補助金事業を展開し、税や金利の優遇措置の面でも支援策を打ち出してきました。
より一層、制度の活用が重要となるため、令和6年度に実施された代表的な補助金事業と各種税制優遇措置について、情報提供という形でお伝えします。
エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯が省エネ住宅を購入する際に適用できる事業です。
子育て世帯と若者夫婦世帯は、次のように定義されています。
この事業は、2024年12月31日で交付申請の受付は終了しており、新たな情報は現在(2025年3月下旬)の時点で発表されていません。
子育てエコホーム支援事業の後継事業として公開され、2025年末までが交付申請期間となっていることから、主力の補助事業といえます。
新たにGX志向型住宅という、最上位の省エネ住宅への補助が設定されたことが特徴です。
GX志向型住宅とは、GX(グリーントランスフォーメーション)、いわゆる化石燃料の使用を抑えてクリーンエネルギーを活用していく取り組みで、温室効果ガス低減による環境負荷を減らす考え方を、仕様として組み込んだ次世代省エネ住宅です。
ZEHよりも高い環境性能が求められるため、補助金額は高額になっています。
長期優良住宅とZEH水準住宅においては、土地に古家が残存しており、その除却を伴う場合は、20万円が加算されます。
令和6年度の事業は終了していますが、補助金額としては以下のとおりでした。
令和7年度の再開が期待されます。
ZEHについては、年間一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅ですが、ZEH+とZEH+ハイグレード仕様は、何が違うのかを簡単に説明します。
わかりやすい点としては、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量の削減の割合です。
まず断熱等性能等級は、ZEHとZEH+は5以上ですが、ZEH+ハイグレード仕様は6以上が要件となっています。
一次エネルギー消費量の削減については、一般住宅と比較してZEHは20%以上を要求されますが、ZEH+は25%、ZEH+ハイグレード仕様は30%になります。
住宅の新築では、さまざまな優遇措置を受けることができます。
代表的な項目と内容を挙げてみます。
項目 | 内容 |
住宅ローン減税 |
【借入限度額(居住年:令和7年)】
※いずれも控除期間は13年間 |
固定資産税 |
3年間は1/2に減額 ※令和8年3月31日までに新築した住宅 |
登録免許税 |
【税率の引き下げ】
特定認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合
|
不動産取得税 |
税率の特例措置:4%⇒3%(令和9年3月31日まで) 課税標準の特例措置:1,200万円 ※認定長期優良住宅は1,300万円 |
贈与税 | 非課税限度額が1,000万円に増額 |
ZEHに認定された住宅へ、融資開始から5年間、金利を0.75%引き下げる制度です。
長期優良住宅の場合は、1.0%に引き下げ幅が拡大します。
一般住宅向けのフラット35と比較して、借入額3,000万円・元利均等返済・ボーナス返済なし・借入金利年1.80%の条件下では、約120万円の差が生まれます。
ただし、2025年3月31日までの申込受付分となっているため、受付期間延長を期待したいところです。
フラット35をはじめ住宅ローンは土地の購入には適用できませんが、神奈川県の土地相場もチェックして、融資額を固める参考にしましょう。
神奈川県下の市区町村では、独自の住宅支援制度を用意しています。
各地域で適用条件が異なるため、ハウスメーカー経由で確認してもらうのがおすすめです。
予備知識として知っておくと、相談がスムーズに進みます。
注文住宅に関する支援制度として、神奈川県のホームページより、一部、紹介します。
受付は全て終了していますが、継続の可能性もあります。
新情報が発表されるまでの参考にしてください。
支援制度 | 補助金額 |
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス |
ZEH+(Nearly ZEH+):導入費補助 100万円/戸 ZEH(Nearly ZEH):55万円/戸 ZEH Oriented:50万円/戸 |
太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助 | 太陽光発電の初期費用0円 |
市区町村が実施する、エネルギー・温暖化対策補助制度については、政令指定都市の川崎市と横浜市を例に挙げます。
太陽光発電などを設置する市内居住者(又は市内居住予定者)である個人に、費用の一部が補助されます。
ZEHへの補助は、国や県の補助金と併用可能です。
現時点では、令和7年度も予定であるとアナウンスされています。
省エネ住宅に住み替え(新築・リノベ)するケースに対応すべく、以下の世帯を対象に実施されました。
新築の場合、断熱等性能等級6又は7の省エネ性能を有している住宅で、市内の新築住宅、土砂災害特別警戒区域外であることが求められます。
補助金額は最大150万円です。
この制度は、令和6年度11月30日に終了しています。
再開に備えて、情報を入手するようにしてください。
補助制度だけでなく、神奈川県は土地情報も充実しています。
補助金の制度は、恒久的ではありません。
だからこそ、利用できるときに利用することが重要ですが、補助金を目的に無理な新築計画は、住み始めてからの経済的な負担が足かせとなります。
情報収集においても、適用条件など複雑化している制度もあるため、ハウスメーカーとの連携がカギといえます。
補助金は、国・自治体・民間団体など多くの機関が単独、あるいは連携して提供しています。
定期的に制度設計も変わり、連携の場合は、機関ごとに関連情報を発信しているケースも見受けられるため、混乱が生じやすい面は否めません。
情報収集は、以下のような方法がおすすめです。
官公庁の公式ホームページの確認・主に国土交通省・環境省・経済産業省
補助金の申請は、注文住宅の発注者ではなく、建築を請け負った事業者です。
ゆえにハウスメーカーとの連携が不可欠といえます。
申請期間中の着工が条件となるケースでは、建築スケジュールの調整も求められます。
ましてや補助金には予算枠があり、早い者勝ちともいえるため、ハウスメーカーの協力なしでは活用は難しいのが実情です。
ちなみに、2023年の「こどもエコすまい支援事業」では、募集開始から数ヶ月で予算上限に達しています。
補助金に熟知しているハウスメーカーの担当者ならば、国の補助金+自治体の補助金+住宅ローン優遇など、複数の制度を組み合わせる提案も期待できます。
注文住宅の新築において、補助金の活用は、高騰する建築コストを抑えつつ高性能な住まいを実現する有効な手段のひとつです。
補助金については、2050年のカーボンニュートラルに向けて、国や自治体は省エネ住宅支援に重きを置くと考えます。
GX志向型住宅・ZEH・長期優良住宅などは、もはや特別な住宅仕様ではなく、標準的な選択肢になる可能性もあります。
ますます、補助金の申請と省エネ住宅の実績があるハウスメーカーや工務店との連携が重要です。
神奈川県の土地探しは、ZEHビルダーでもあるリブワークのe土地netにお任せください。
また、神奈川県で注文住宅を建築される方で、補助金情報も含めて土地情報をお求めの方は、リブワークにぜひご相談ください。