本年も1月の石川県能登半島地震、8月の宮崎県日向灘地震など、比較的大きな地震が発生しています。
日向灘地震では、政府から初めて「南海トラフ地震臨時情報」も公開され、大地震がくるのではないかと危機感を実感したものです。
各ハウスメーカーは地震対策として住宅設計の時点で構造に組み込んでいますが、我々もある程度基本的な知識を持っておくことが求められます。
耐震基準などを正確に理解する必要はありませんが、福岡県で注文住宅を建てるにあたっては地震から建物を守る方法についての選択や判断を迫られます。
そこで今回は、地震対策の代表的な方法である「耐震」「制震」「免振」について、わかりやすくお伝えすることがテーマです。
ハウスメーカーのパンフレットには、耐震や制震、免震(免振)といった地震対策の特徴について記載があります。
ただし基本的にはハウスメーカーが採用している地震対策に関する内容のみですが、耐震、制震、免震の違いなどについて触れているケースは多くはありません。
そのためハウスメーカーを検討する前に、まずは地震対策の特徴を押さえておくことが重要といえます。
この章では、それぞれの特徴と選び方についてお伝えします。
耐震、制震、免震という言葉の違いは地震エネルギーの逃がし方にあり、次のような特徴があります。
地震対策 |
特徴 |
耐震 |
床、壁、柱、天井、梁、筋交いといった建材1つ1つの強度を上げ、住宅全体で地震エネルギーを受け止め。 |
制震 |
制震ダンパーと呼ばれる部材を柱に設置し、地震エネルギーを吸収して揺れや損傷を小さくする。 |
免震 |
免震装置によって地震エネルギーを受け流し、建物が揺れないようにする。 |
耐震は昔からある地震対策ですが、建材の強度は年々向上しており、大地震にも耐えられるほどです。
その一方で、地震エネルギーを受け止めた上で耐えることから住宅にはダメージが残りやすくなっています。
大地震が発生した後は、再度、耐震補強工事を行う必要性も出てきます。
制震は、ダンパーと呼ばれる部品を搭載することで地震エネルギーを吸収し揺れや損傷を小さくします。
一般的に2階以上の階層が揺れにくくなることから、高層ビルにも採用されており、不特定多数が出入りする建物でも安全の確保が可能です。
地震エネルギーを受け止めるのが「耐震」、吸収するのが「制震」ですが、「免震」は揺れを家屋に伝えない方法になります。
免震装置によって建物と地盤を切り離し、地震エネルギーを大幅に下げることで、二次災害を減少させることができます。
官公庁はじめ大規模病院のような公共の建築物などにも多く採用されており、一部のハウスメーカーも免震住宅として取り入れはじめていますが、まだ、耐震や制震のほうが選択肢は多いです。
地震エネルギーを住宅に最も伝えない方法でいえば、まず免震が最有力であり、以下、制震、耐震という位置づけになります。
一方、コストは免震が最も高く、耐震が比較的ローコストになるケースが多いです。
また、中間に位置する制震は、揺れへの対応や効果とコストのバランスがよいですが、ダンパー部分が破損してしまうと制震が機能しなくなります。
効果を出すために必要とするダンパーの数や設置位置は住宅デザインによって異なりますし、地盤の弱い土地では制震のメリットが活きてこないケースもゼロではありません。
そもそも、どの地震対策も万全ではなく、
など、メリットとデメリットがあります。
どの方法を選択するかは、立地や地震の頻度、予算、さらには地震に対する住宅への考え方などを整理して結論を出すことが求められます。
なお、耐震性の高い住宅、つまり耐震等級の高い住宅については、地震保険は安くなるという点も忘れてはならないポイントです。
耐震性を示す指標で最も高い耐震等級3であれば、最大50%の割引が適用されます。
地震対策と同様に、福岡県の地震に強いエリアで土地を選ぶと安心できます。
「耐震住宅」という言葉はよく使われますが、厳密には耐震住宅という定義はなく、地震に強い住宅全般を表すことが多いです。
現在の建築基準法をクリアした建物は全て耐震住宅といえるレベルであり、どのハウスメーカーで建築してもそれなりの耐震性は得られます。
しかし、かつてない地震が発生しても倒壊しない住宅を建てる、という前提に立てば、適法性だけでなく耐震等級の高さが判断指標です。
この章では、耐震等級の意味と代表的な耐震住宅である長期優良住宅についてお伝えします。
耐震等級とは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に定められる基準のことで、住宅性能表示制度に基づき耐震性能を3段階で評価します。
例えば、耐震等級1の住宅は震度6強~7の地震では倒壊することがなく、建築基準法を最低限クリアできる水準となります。
耐震等級2となると、耐震等級1の1.25倍の耐震強度があり、震度6強~7の地震が発生しても一定期間住み続けることが可能なレベルです。
そのため、学校や病院など災害時の避難場所として指定される建物は全て耐震等級2以上が求められます。
耐震等級3では耐震強度が耐震等級1の1.5倍となっており、災害時の救護活動や災害復興の拠点となる警察署や消防署、大規模病院が当該の等級です。
建築技術の向上によって一般住宅であっても耐震強度を高くできるようになり、多くのハウスメーカーが耐震等級3の住宅を供給しています。
地震に強い住宅を希望するのであれば、耐震等級が高い住宅を提供できているハウスメーカーを優先的に検討するのがおすすめといえます。
長期優良住宅とは国土交通省が認定する住宅のことで、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅(認定制度概要)」と定義されています。
さらに、認定を受けるためには以下の条件を全てクリアする必要があります。
また長期優良住宅は耐震等級が2以上を必要とすることから、耐震性も十分に高い住宅のため、地震保険も割引も適用可能です。
長期優良住宅の認定を受けた住宅は、さまざまな税制特例の適用や助成金、補助金などの制度を利用できます。(長期優良住宅に係る支援制度)
具体的には、
などです。
省エネ性やメンテナンス性にも優れていることから、多くのハウスメーカーが長期優良住宅を推奨しています。
まずは長期優良住宅をはじめとした、耐震性の高い住宅に適した福岡県の土地選びが第一歩です。
地震に強い注文住宅を建てるのであれば、耐震性の高い住宅建築で実績あるハウスメーカーを選ぶことが重要です。
同様に、地震の影響を受けにくいエリア、地盤の強度に不安がない土地を選ぶことも求められます。
この章で解説しますので参考にしてください。
地盤が軟弱な場合、地震の影響によって液状化現象の発生など困難な状況にもなりかねません。
また地盤が弱いと住宅の基礎にも影響し、想定した安全性が得られない可能性もあります。
そのためになるべく地盤が固い土地を選ぶ必要がありますが、その方法として、
自治体が公開しているハザードマップをチェック
国土地理院や地質調査所が公開している地質図を確認
その地域の過去の地震被害記録を調べる
土地購入前に地盤調査(過去の報告書の確認など)が望ましい
傾いた建物や地盤沈下の跡がないかを確認
地盤に関する情報を都市計画課などに問い合わせる
ハウスメーカーや不動産業者から情報を得る
といったことが挙げられます。
特に地盤調査は安心できる方法のひとつですが、基本的には土地を購入した後が実施のタイミングとなります。
購入前に土地の状況を知りたい場合は、現所有者から報告書などの記録を見せてもらうしかありません。
不動産業者やハウスメーカーを通して、その記録の有無や閲覧可能かどうか問い合わせることになります。
また購入前に地盤調査を実施する場合は、現所有者とのコスト分担など細かい取り決めが求められます。
耐震等級3をアピールするハウスメーカーを選ぶことが最善策である、とは言えない状況になっています。
なぜならば、今や耐震等級3は当たり前の基準となりつつあるため、比較検討が難しいためです。
特に注文住宅となると、ハウスメーカーの工場やショールームの見学、完成見学会、住宅相談会などを通して、地震に対する考え方を知り納得した上で選ぶことが求められます。
担当者の地震対策の知識やアイデア、情報提供なども重要で、フォローが弱いと不安が募ります。
そのため、見学や相談会での数値やしくみの説明だけでなく、実際に住宅を体感することがポイントです。
さらにハウスメーカーのこだわり、地震発生後の住宅の状況など、気になることがあるのならば、積極的にコンタクトをとることをおすすめします。
地震に強い注文住宅を建てることで、万が一の地震発生時も安心して暮らすことができ、避難場所へ行けない状態でも安全に待機することができます。
地震大国の日本では地震対策された住宅が当たり前のように供給されていますが、その方法によってはコストやリスクは異なります。
また、地震に強い土地選びも重要です。
ハウスメーカーがどのような地震対策をしているのかをチェックし、土地選びについては地盤の強度についての情報収集をおすすめします。
地震に強い福岡県のエリアでの土地探しは、リブワークのe土地netにお任せください。
また、福岡県で耐震等級の高い注文住宅を希望される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。