熊本県は、TSMC(台湾積体電路製造)の進出、さらには第2工場新設の計画もあることから、国内でも大きな注目を浴びています。
中でも工場が所在する菊陽町では、人口流入も見込まれたことで路線価も上昇し、連動して住宅の土地価格も上がっています。
そのため、熊本市の中心から15km程度しか離れていない菊陽町での注文住宅新築における資金計画は、シビアになっていく可能性は高いです。
そのような状況の熊本県で、手ごろな価格の土地探しや注文住宅のコスト削減について、今回はお伝えすることにします。
2024年7月1日に路線価が公表され、全国平均は3年連続で上昇です。
路線価は、相続税の計算に使用される指標ですが、その一方で、土地の価値を見る材料としても使われます。
そのためハウスメーカーや不動産業者だけでなく、土地探しをしているのではあれば、希望エリアの相場が見て取れるため、非常に参考になります。
多くの用途で利用されている路線価ですが、熊本県内の平均は7年連続で上昇しており、特に菊陽町は全国的に見ても注目すべき上昇率です。
路線価とは、1月1日時点で国税庁が設定した全国のポイントで測定され、1㎡あたりの評価額を不動産鑑定士が算出した指標です。
前述のとおり相続税や贈与税の計算にも使われるため、「相続税評価額」とも呼ばれることもあります。
上昇率とは、路線価が前年度もしくは過去数年間で、どのように推移しているのかを示しており、プラスであれば上昇、マイナスであれば下降したことを示します。
なお、全国の路線価を表示した路線価図は、国税庁のホームページ(財産評価基準書|国税庁)で公開中です。
路線価図に表示されている数字と記号の意味や、宅地の計算例などが記載されているため、あらかじめ熊本県内の気になるエリアについて、標準的な価額を知ることができます。
ちなみに、路線価の調査主体は国税庁(相続税)と市区町村(固定資産税)ですが、混同されがちな、以下の指標についても記しておきます。
全国の税務署別上昇率ランキングで、上位を占めた自治体は、以下のとおりです。
菊陽町は、やはり台湾の企業であるTSMCの進出が非常に大きく、また第2工場建設も決定していることと、それにともなう人口流入増の予測が追い風となっていると考えます。
さらに熊本県合志町においては、本社を置く東京エレクトロン九州の工場も拡張予定があり、2025年には菊陽町や大津町にビジネスホテルの建築も計画されています。
それだけでなく、これらの施設を円滑に繋ぐための道路やバイパスなどが整備される可能性があり、菊陽町を中心に熊本県東部エリアは大きく発展することは、誰の目で見ても明らかです。
半導体の受託製造会社として世界最大を張るTSMCが国外に工場を進出させるのは、アメリカ、中国に続いて日本は3カ国目という、希少性も路線価に反映されているといっても過言ではありません。
こうした背景から熊本県東部に広がる住宅用の土地は、急激な路線価の上昇によって、ますますニーズも拡大していくものと考えます。
まだ、割安な熊本県東部の土地を探すなら、今のうちから物件情報を収集することがおすすめです。
路線価の上昇は、注文住宅を建てる際の土地取得コストを押し上げ、全体の予算に大きな影響を与えます。
特に今後の菊陽町では土地価格の高騰により、以前と同じ相場を想定するならば、狭小な土地しか購入できなくなる可能性は拭えません。
これは、注文住宅の床面積や間取りに制約をもたらし、理想とする住まいの実現を難しくすることも予想されます。
一方で、土地を所有するとなると、将来的な資産価値の上昇という恩恵も期待できます。
しかし、固定資産税の増加も考慮する必要があるため、ランニングコストも含めたトータルなコストパフォーマンスを見据えた設計が重要です。
熊本県が11月下旬に公表した「令和6年度固定資産(土地)評価替えにおける基準地価格について」によると、菊陽町の基準宅地価格は、
となっており、26.6%上昇しています。(令和6年度固定資産(土地)評価替えにおける基準地価格について-熊本県ホームページ)
調査対象エリアは路線価と同様、菊陽町光の森三丁目です。
なお、基準地価格については、固定資産税評価基準に基づいているため、より相場としてリアルな数字ともいえます。
仮に、このエリアで、それぞれの年度内に約30坪(約100㎡)の土地の参考価格としては、以下のようになります。
わずか3年の間に、予算として250万円ほどの上積みが必要というのが現状です。
ただし実勢価格、つまり実際の取引としてハウスメーカーや不動産業者が提示する価格とは、多少のズレが発生することがあります。
土地だけでなく、住宅の建築コストも上昇していることから、住宅ローンの選定、自己資金の準備といったことが、ますます重要性を増してくるものと考えます。
工場やホテル、ショッピングモールなどの建設が相次いでいる菊陽町ですが、それ以前に、全国的な建築費用の上昇も、これからマイホームを手に入れたい世帯にとって頭の痛い問題です。
建築費用の上昇は、菊陽町に限ったことではありません。
いわゆる「ウッドショック」の影響で、国産材と輸入材の価格が急騰しましたが、いまだに尾を引いている感は否めません。
最も懸念されるのは、熟練工をはじめとした人材不足による人件費の上昇です。
少子高齢化に伴う担い手不足は、工期の長期化や労務費の増加をもたらしています。
対策としては建材の選択を見直す、間取りや外観デザインをシンプルにする、住宅設備のグレードを見直す、といった小さな努力と工夫の積み重ねが求められます。
また、初期費用はかかりますが、長期的な視点でランニングコストの削減につながる太陽光発電、さらにはZEHといった省エネ仕様も含めて、資金計画から見直すことも重要です。
現時点での、熊本県の土地とセットでの住宅プランを、チェックしておくようおすすめします。
TSMC進出に伴い、周辺も開発が急激に進むことが期待される東部エリアは、熊本県でも住宅地として屈指の人気エリアになりつつあります。
前述したように、菊陽町などで注文住宅を建てる場合は、上昇率から見ても、予算次第では理想とする注文住宅の仕様の一部を、修正あるいは変更せざるを得ない可能性も否定できません。
ゆえに本章では、注文住宅の費用負担を軽くするために、予算の見直しと住宅ローンの返済負担についてのヒントを、お伝えすることにします。
予算の見直しについては、以下のようなポイントを見据えるとよいです。
これらの見直し要素だけに留まらず、割安なエリアで再検討する、ハウスメーカーを変更する、シンプルな設計にするといったことも見直し効果は得られます。
返済負担率とは、年収と年間返済額との割合であり、2022年度のフラット35利用者調査では、注文住宅において平均21.9%です。(2022年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構)
割合としては、
となっており、少なくとも30%未満に抑えることが理想的といえます。
ただし返済負担率については、たとえば世帯年収600万円の場合、返済負担率の対象を
で計算してみると、以下のように家計への負担が異なります。
返済負担率30%では、
となりますが、これを返済負担率25%にすると、さらに、
と下がります。
世帯年収600万円で、毎月の返済負担が約9万円ならば現実的です。
つまり返済負担率は絶対的なものではなく、あくまでも目安であり、無理のない計画とは現実的であるかどうかがカギとなります。
なお、注文住宅を建てた後の収支に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーにライフプランの作成を依頼してみることも、ひとつの方法です。
熊本県はTSMCやその他の大手メーカーの進出によって、土地の価値が大きく上昇しています。
特に菊陽町の路線価の上昇率からすると、今後、予算に見合う土地を探すことが難しくなることが、簡単に予想できます。
加えて建築費用の高騰から、資金計画にも影響が出る可能性は否定できません。
本当に必要な条件での土地探しや、注文住宅の仕様決めを行い、返済計画も無理のない範囲でシミュレーションすることをおすすめします。
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