注文住宅の見積もりを依頼すると、専門用語であふれた内容に、理解が追い付かないという声は多いものです。
見積もりの内容を大別すると、
で構成されます。
ちなみに、神奈川県で土地を探し、その場所に注文住宅を建築する場合でも、注文住宅の見積もりに、土地代金は基本的に含めないことが多いです。
今回のテーマである工事監理については、明確に「工事監理費」と書かれていることは少なく、諸経費の明細に明示しているか、一般管理費という書き方をします。
工事監理とは、住宅の建築において必ず必要となる項目であることから、具体的に、何をするのか、まず理解しておくことをおすすめします。
これから家づくりを検討する人は、参考にしてください。
建築士法第2条第7項で、
その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること
とあり、工事監理は資格を有する建築士の業務独占として定められています。
工事監理の役割は違法建築や欠陥住宅を防止するために重要ですが、工事監理が適切に機能しないまま建築されていることも残念ながら少なくありません。
そのため、神奈川県内外の土地でも、欠陥住宅が発生してしまうことがリスクとして残っています。
このような事態を解消するために、国土交通省は工事監理ガイドライン(※)を策定しています。そこに、工事監理は安全な建造物を建築するために必要な役割であることが明記されています。
なお、工事監理ガイドラインに記載されている監理内容は、以下のとおりです。
工事項目 |
監理内容 |
着工 |
施工図と施工計画の確認と現場作業者との打合せ |
地業工事 |
土質試験データなどの書類点検及び杭の口径や長さの確認 |
基礎工事 |
鉄筋やコンクリートの品質及び配筋位置、数量などの点検。 |
構造工事 |
基礎工事に加え、ボルト孔や口径、位置、つなぎ目などの確認。 |
防水工事 |
アスファルト、塗装防水、シーリングなどのチェック。 |
仕上げ工事 |
左官、建具、塗装工事のチェック。 |
設備工事 |
電力設備や情報通信設備などの規格、材質、寸法のチェック。 |
竣工 |
建築確認との相違やヒビ、ゆがみのチェック。 |
実際の建築現場や打ち合わせにおいては、「工事管理」「施工管理」という、似たような言葉も出てくるため、その違いをお伝えしておきます。
工事監理は、資格を有する建築士が役割を担いますが、工事管理は現場監督、つまり工事の責任者が務めます。
言い換えれば、現場監督は建築士の有資格者意外でも、務めることが可能です。
設計図書のとおりの内容と品質で、建築工事が進んでいるかをチェックすることが工事監理ですが、工事管理は工程スケジュール、リスクマネジメント、近隣住民への影響といった工事全体のマネジメントと言えます。
工事監理は施主側、工事管理はハウスメーカーや工務店側の視点で、チェックを行うというイメージです。
ただしハウスメーカーの場合は、設計部門と建築部門の両方を持っており、一貫体制が可能ですが、まれに社内の都合を優先されるという声も聞きます。
一貫体制では、施主の意向がないがしろにされるリスクも、ゼロではありません。
そのような状況を避けるために、工事監理者を第三者機関に依頼して、公平性を担保する方法もあります。
施工管理については、これは工事管理と同様に扱われることが多く、内容についてもほとんど同じと捉えて構いません。
工事監理を務めるために必要な資格は、以下のように建造物によって分かれます。
資格 |
内容 |
一級建築士 |
木造:延床面積300㎡超、階数3階以上 |
二級建築士・木造建築士 |
木造:延床面積100㎡超、階数2階以下 |
資格不要 |
木造:延床面積100㎡以下、階数2階以下 |
このように、建造物によって必須資格が異なっており、場合によっては資格がなくとも工事監理を務められるケースもあります。
工事監理を第三者機関に依頼する方法もあると、前章で述べました。
対象としては設計事務所になりますが、この場合の体制などを、本章でお伝えします。
第三者ということで公平性が担保される印象を受けるかもしれませんが、やはり、メリットとデメリットはあります。
安心して神奈川県のお気に入りの土地に、注文住宅を建築するならば、良し悪しを知っておくことは損ではないです。
設計事務所が工事監理をすることで、まず公平な監理を期待できます。
公平な監理とは、施主と工事現場との間に入って、中立な立場で職務を全うするという意味です。
ハウスメーカーや工務店が建築工事を行うとして、設計事務所が工事監理者となると、施主を含めた関係性は、以下のようなイメージになります。
工事監理の契約前には、「重要事項説明」を建築士から受けることになります。
その説明内容としては、設計業務の範囲、工事監理の方法、業務に携わる建築士、報酬支払いの時期や、契約解除の方法などです。
建築の専門家によるチェックが機能することで、施工方法の誤魔化し、手抜きなどを抑制し、欠陥住宅の発生を防止することができます。
前述したように、設計事務所に工事監理を任せることで、ハウスメーカーや工務店と工事監理者の癒着、あるいは手抜き工事などを防止できます。
手抜き工事の影響は住んだ後に表面化することから、生活を脅かす重大なトラブルに発展することも珍しくありません。
また、多額の費用を捻出して、せっかく神奈川県の土地に建てた注文住宅が欠陥住宅だった場合は、その後の人生が大きく変化してしまう可能性は高まります。
こうした問題を防ぐために国土交通省は指針を発表し、長期間、安心して暮らすことができるよう工事監理の役割が設定されています。
つまり、設計事務所に工事監理を依頼することは、より信頼できるチェックが実施され、結果として施主の建築知識の有無に関係なく、守られることがメリットです。
一方、設計事務所に工事監理費を依頼すると、設計費用は割高になるというデメリットがあります。
工事監理費用は設計費用の2~3割になることが多く、内訳が把握できなければ納得しにくい費用といえます。
そのため、設計事務所に設計を依頼する場合には、工事監理費が含まれているかを確認し、理解した上で依頼することをおすすめします。
工事監理は必ず設計事務所に依頼しなければならないわけではなく、ハウスメーカーであれば、建築工事とセットで社員が工事監理を行うことが多いです。
なぜなら、大手のハウスメーカーほど、自社に設計士や建築士を常駐させていることから、外注する必要性がないからです。
自社の住宅仕様を知り尽くした社員が、工事に対して目を光らせることで、確固たる品質を確保できるという合理性もあります。
工事と品質の担保を同時にできることが、ハウスメーカーでは実現可能です。
ある意味、完全にお任せしても良いというスタンスの施主であれば、完成を待つばかりと言っても過言ではありません。
ハウスメーカーが工事監理を実施することで、設計の打合せから着工、工事完了検査、引き渡しまでを一貫して実施する体制になります。
つまり、外部の組織が介入することなく、ハウスメーカーの社員のみで家づくりが行われるということです。
勝手を知った者同士であれば、現場でのコミュニケーションは、まず、問題は無いと言えます。
さらに部材の欠品、納品の遅延、工事の遅れなど、調整が必要なシーンが起きたとしても、比較的早期に解消されるというメリットはあります。
第三者が介入していると、情報のやり取りだけで時間を要することもあるため、基本的には計画通り進むと考えてよいです。
また、一部の設計と工事監理を外部に委託することはありますが、その場合であっても品質保持の観点から、提携企業、関連会社、協力会社などに絞られます。
設計事務所が介入しないハウスメーカーの工事監理は、すでに信頼性の高い企業が担っていることから、全てを任せられるというメリットがあります。
打合せや相談を重ねる中で、ハウスメーカーへの信頼度は増していくため、工事監理を第三者に任せるのは、逆に不安だという施主も少なくないです。
そのため、ブランドや企業そのものを信頼できる施主であれば、ハウスメーカーの工事監理に対する評価も高くなります。
一方、工事監理を外注しないという点においては、癒着のリスクが高くなるというデメリットは、すでに書いています。
そもそも工事監理は、建造物の品質や安全性をチェックすることで、手抜き工事の防止が目的です。
つまり、ハウスメーカーが建築と工事監理の両方を実施することは、言い換えればセルフチェックです。
仮に、不都合な施工があっても、黙認できる状況にもなり得ます。
とは言え、手抜き工事ましてや隠ぺいが明らかになれば、ハウスメーカーの評判、ブランド価値を大きく損なうどころか、経営的にも大打撃は必須です。
そのため、セルフチェックという形にはなりますが、工事不良をごまかす可能性は非常に低いといえます。
工事監理は、設計図書どおりに注文住宅が建築され、品質と安全性が担保されている住宅を完成させるために必要な役割です。
そのため、多くのケースでは建築士の資格者が工事監理者になり、厳しい目線で住宅の工事状況をチェックします。
また、工事監理を設計事務所に依頼する場合と、ハウスメーカーに依頼する場合では、それぞれにメリットとデメリットがあります。
注文住宅を建てる際には、工事監理について「わからないから任せる」のではなく、できるだけ、その目的や意義などを理解した上で、どの体制を取るかを考えることをおすすめします。
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また、神奈川県で新築一戸建て(注文住宅)を建築される方で、土地情報や工事監理について知りたい方はリブワークにぜひご相談ください。