注文住宅用の土地を探しているときに、旗竿地(はたざおち)と物件情報に書かれていることがあります。
その名の通り、風になびくフラッグのような形状の土地のことで、面積は比較的広いにもかかわらず金額が安くなっていることが特徴です。
妙な形をしているということで避けられやすいため、神奈川県内の人気エリアであっても一般的な土地よりは割安になっているというわけです。
工夫次第では、とてもお得なこともあります。
そこで今回は、旗竿地のメリットとデメリット、活用法について解説します。
旗竿地とは、前面道路から通路状の細長い土地が続き、その奥に建築場所となるまとまった土地がつながっている形状を持った敷地です。
通路部分が「竿」、建築する部分が「旗」に似ていることから、「旗竿地」と呼ばれています。
旗竿地は、なぜできるのかを参考までに説明すると、そもそも広い土地を、
ように、適度なサイズに分けた結果であることが大半です。
利便性や環境に優れ、高額での売買が見込める地域で土地を分譲、あるいは相続した場合、広さによっては売却しづらい状況になることがあります。
このような土地は概ね坪単価が高く、金額は坪数、つまり広さで決まるため、手の届きづらい金額になってしまうわけです。
そこで売却を促進する手段として、
といった2つがあります。旗竿地が生まれるのは、後者のやり方を採用したときになります。
土地を左右に分けることができる幅があれば何も問題はありませんが、隣地までの距離を考えると、前後に分けるしかないケースも出てきます。
前後に分けるとしても、建築基準法第43条の「接道義務」は遵守しなければなりません。
接道義務とは、幅員4m以上の道路に対して最低2mは土地が接していなければいけないとするルールです。
この最低2mの接道部分が、「竿」の部分となるなり、旗竿地ができあがります。
旗竿地には、この形状ならではのメリットが多くあります。
いくつかポイントを挙げて紹介します。
周辺の土地の相場価格より、2割から3割ほど安く価格設定されていることが大半です。
旗竿地は、利便性や環境に優れた人気の高いエリアであっても、なかなか買い手が付きにくいことがあります。
そのため価格が高騰し、一般公開される前に売れてしまうようなエリアでも、安価で販売されていることは珍しくありません。
旗竿地は、土地の一面だけが道路に接して奥に開けた形状のため、整形地(真四角の土地)よりも資産価値が低いと判定されることが多いです。
そのため神奈川県でなくても、固定資産税が安くなる傾向にあります。
ただし、どの程度まで安くなるのかは計算で求めることは少々複雑なため、不動産業者やハウスメーカーに概算を調べてもらうとよいです。
建物が道路から離れた位置にあるため、車通りの多い道路沿いや人が多く通る場所でも音が届きづらく静かさを得られます。
また、通行人からの視線を気にする必要がないことから、窓やカーテンを開けておく機会も増やせます。
だからといって不用心な行動はプライバシーの保護の観点から避けたいものです。
竿の部分の幅が広ければ、縦列にはなりますが、2台分の駐車場にできます。
その分、建物周りは余裕ができるため、広めに庭スペースをとることも可能です。
竿の部分を駐車場とする場合は、前面道路で切り返せる幅があるとバックで駐車ができ出入りもしやすくなるため、前面道路幅がカギとなります。
竿部分の幅が狭い場合は、インターロッキングブロックを敷設、あるいはガーデニングで華やかなアプローチをとることができます。
その他、ちょっとした遊び場として使うことも可能です。
また、玄関から道路まで離れているので、小さな子どもが飛び出すといった危険性を大幅に抑えることができます。
旗竿地に注文住宅を建築したとしても、外観を見ることが難しいこともあるため、考え方によってはコストを抑えたデザインが可能です。
美観より機能性を重視すると、耐久性の向上、メンテナンスコストの削減も期待できます。
一般的に、旗竿地はデメリットだらけと考えられていますが、工夫次第と言えることもあります。
神奈川県内で旗竿地での注文住宅の実績があるハウスメーカーならきっちりと対応してくれることもあるため、あくまでも参考としてください。
周囲の建物の高さや方角、土地の広さによっては、日当たりを確保するための間取りに工夫が必要です。
吹き抜けや天窓、中庭を設置して日光を上手に取り入れられれば、明るい室内を実現できます。
土地に対して建物の面積が大きい場合、周囲の建物に阻まれて風が抜けづらくなることが考えられます。
神奈川県の海沿いの街と違って風が弱いエリアでは、風通しがよくなければ梅雨時期には湿気やカビの大量発生によって、内装がすぐに傷みます。
設計の段階から風通しに対する工夫が必要です。
竿の部分の幅が狭いと、工事車両や資材の運搬車両を横付けできないことがあります。
そのようなときは建築資材を手作業で運ぶことになり、若干、建築費用に影響が出る可能性があります。
また、重機が建物まで入れない場合は小さい重機や手作業での作業となり、工期や手間がかかることもコストアップにつながる要因です。
建物の配置が隣地境界線ギリギリであれば、隣の住宅との距離が近すぎてプライバシーの確保に苦慮することも出てきます。
窓の位置が一致しないような配慮はもちろん、生活音の防音対策も欠かせません。
エアコンの室外機や換気システムの排気口といった外部設備の配置も、近隣に対する気遣いは必要です。
竿の部分は玄関までの距離が長く、面積も広くなるため外構の工事費用は大きくなる可能性があります。
また、駐車場としてカーポートを設置したいと考えても既製品では幅が合わなければ、神奈川県内の業者へオーダー品を発注して対応することになります。
土地を分けたばかりのタイミングであれば、上下水道や電気、ガスといった生活インフラのための配管等が整備されていない場合があります。
道路から距離が離れているため、インフラ整備の追加工事の発生や、相場より高い見積もりが出る可能性が高いと言えます。
旗竿地での注文住宅の建築にはメリットもありますが、デメリットに配慮した設計が必要とされます。
しかし、その創意工夫された設計がオリジナリティを生み特徴ある住宅を構えることができます。
建ぺい率や容積率の計算では、当然ながら竿の部分を敷地面積として算入することができます。
高さ制限や北側斜線制限等を充たすことができるならば、3階建ての住宅を建てることも可能です。
神奈川県内でも建ぺい率がクリアできれば、3階建ての内部に大きな吹き抜けを作る、中庭を設置するといった、風通し採光を維持するアイデアも採用できます。
3階建てでも明るい居室にしたいならば、光ダクトシステムは効果的です。
光ダクトシステムは、過去の気象データを参照しながら、光を取り入れる位置を設定します。
採光した光を、高反射性のアルミ材で作られたダクトによって室内へ運ぶので、日当たりが難しい1階の部屋へも自然光を届けることが可能です。
ダクトの形状を変えれば、家じゅうどこにでも光を運ぶことができるため、壁や天井など好きな場所に放光部を設定できます。
家の中で特に明るさを保ちたい場所となるのが玄関とリビングです。
玄関の上部を吹き抜けにする、玄関を開くと中庭を見渡せるといった間取りは、明るさを維持するだけでなく、開放感があり贅沢な印象を与えます。
また、採光や風通しの確保に有効な方法として、あえて2階にリビングを配置する、家の中心に階段を配置するといった間取りも一考の余地ありです。
リビングや階段の上部に自動開閉できる天窓を設置すれば、自然の光と自然の風を取り入れやすくなります。
その他、ウッドデッキやバルコニーを設けると、外部からの視線を気にする必要がないので、外に洗濯物や布団を干せますし、家族でゆったり過ごせるスペースにするということもできます。
また、竿の部分の幅に余裕があるならば、思い切って1階をガレージ、2階以上に居室をつくることも考えられます。
その場合は、敷地の奥にまとまった庭を作ることもできます。
利便性の高い、つまり坪単価が高いエリアでは広い庭を持てることはほとんどありませんから、旗竿地ならではの割安感を活かした設計です。
旗竿地のメリット、デメリットと、特徴を生かした家づくりについて解説しました。
旗竿地での建築時で特に重視したいのは、建物の風通しと明るさ、竿の部分の有効活用です。
購入を検討する場合には、どのように日が差し込むのか、周囲の建物の影となる時間帯など、よく観察することをおすすめします。
また、竿の部分の幅と長さ、土地にかかる制限の確認も大切です。
旗竿地であっても、工夫を取り入れた設計次第で、メリットをフルに活用できる家づくりも可能です。
神奈川県での土地探しはリブワークのe土地netにお任せください。
また、今回の記事を読んで神奈川県で新築一戸建て(注文住宅)を建築される方で、非整形地で割安な土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。