新築住宅の防犯対策は、設計の段階で考えて盛り込むパターンと、入居後にDIY感覚で行うパターンがあります。
空き巣や窃盗・強盗に狙われない、安心できる住まい作りに防犯対策は必須です。
防犯対策が甘い戸建て住宅は狙われる傾向があり、我が家を守るためには、いかに狙われにくい環境作りや設備の導入を行うことが重要となります。
本記事では、新築の戸建て住宅の建築や購入を検討している方へ、
についてお伝えします。
住宅の浸入窃盗や強盗の被害というのは、想像以上に多く発生しています。
それほど身近な犯罪であり、被害リスクも高いのが現状です。
過去最大だった時期よりは件数は減ってはいますが、手口が組織化、巧妙化、凶悪化しており、依然として油断できない状況にあるとの認識が、防犯意識を高めます。
まず侵入窃盗や侵入強盗の実態を、少し詳しく紹介します。
侵入窃盗とは、建物に侵入して宅内の金品を盗む、つまり泥棒のイメージです。
手口としては大きく分けて以下の3つをいいます。
侵入窃盗の中で1番多く発生している被害であり、令和2年の手口別認知件数では総数44,93件の内で約1/3を占めています。
空き巣というのは、その家の主が不在中に侵入して金品を盗む手口のことです。
別名「コソ泥」とも言われており、名称通り不在の家を狙うので、その家の主と出会ってしまうことは、ほぼありません。
以前は、空き巣に住民が出くわしても犯人はすぐに逃げるので大きな問題になりませんでしたが、昨今は凶器を携行している可能性も否めず、住人に遭遇した際には凶悪化してしまうケースもあります。
居空きは、その家の住人が在宅中に、こっそり侵入をして金品などを盗む手口のことです。
住人が在宅中に行われる大胆な犯行なので、住人と犯人が出くわす確率が高いといえます。
そのため、大変危険性の高い犯罪です。
玄関や窓の鍵を施錠していない住宅に多い被害であり、常に施錠を行う癖をつけることにより予防ができます。
忍び込みというのは、その家の住人が寝ている間に犯人が忍び込んで、金品を盗む手口です。
住人が寝ているスキを狙うものではありますが、忍び込んでいる時の音で住人が起きてしまうこともあり、犯人と遭遇してしまう例も。
場合によっては危険な状況となります。
寝起きは無防備ですので、犯人と遭遇した場合に適切な対応ができない可能性が十分に考えられるため、まず発生させないことが肝心です。
居空きと同様、玄関や窓の施錠を行っていないことにより発生しやすい犯罪ですので、施錠の徹底が予防に繋がります。
侵入強盗というのは、いわゆる住人を脅しての金品強奪、つまり強盗のことをいいます。
侵入強盗も、以下の3つが主な手口です。
宅配業者などを装って、標的としている家に押し入りをします。
下見などで事前に狙いを付けている家を標的にしているので、凶器を携行していることが大半です。
金品の被害をはじめ、相手が女性の場合は口封じのために性的被害を受ける恐れもあります。
居座り強盗というのは、空き巣として住宅に侵入した際に住人に遭遇し危害を加える、あるいは、狙っていた金品が無い場合に住人の帰りを待ち伏せし、住人と出会ったら開き直るといった経緯を経て強盗に豹変してしまうケースです。
変わり身の傾向から、犯人は精神的に不安定な状態となってしまっている可能性もあり、何をするかわからない危険な状況になりがちです。
ターゲットとしている住宅に宅配業者などの訪問者に装って押し入り、その後、住人をロープなどにより緊縛して凶器で脅して金品を根こそぎ強盗する冷酷な手口を言います。
なお、居座り強盗の説明の中で、住宅内に侵入した後、住人の帰りを待って犯行に及ぶ手口については「待ち受け強盗」として分ける場合もあります。
どの手口にしろ、住人が人質となり、事件が長期化することだけは避けたいものです。
住宅の犯罪対策を行うためには、重点的に守るべき場所がいくつかあります。
侵入を考えている泥棒は下見を怠ることはなく、少しでも侵入しやすい部分を見つけた後に、犯罪を計画し実行するのが常套手段です。
どのような場所に注目すべきなのか、いくつかピックアップして説明します。
トイレの窓は小さいので、うっかり施錠し忘れる方は少なくありません。
しかし、泥棒というのは、そのような小さな窓からでも平気で侵入する術を持っていることも考えられます。
細身の身体であれば、30cm角の空間に入ることができるため、トイレの窓は簡単に入ることができる格好の場所でもあり、足場を設けてよじ登れば、簡単に侵入は完了します。
特に、塀や植え込みで見通しの良くないトイレの窓は、泥棒の目に留まりやすいと考えるべきです。
塀は泥棒が非常に好む傾向にあります。
塀の種類によっては外部から侵入している姿が見えにくいこともあり、皮肉なことに侵入を助長してしまう可能性もあるのです。
特に、ブロック塀やコンクリート塀などは目隠し状態となるため、外部からの見通しが悪く、侵入しやすい条件となってしまう場合もあります。
フェンスなど、あえて少し空間の開いている種類であれば、外部から敷地内の一部が見えることで、侵入しにくい住宅だと認知さやすくなります。
侵入犯罪の予防において、あまり物置に目を向ける方は少なく、設置場所次第では侵入の手助けとなってしまうので用心が必要です。
考慮すべきポイントは2つ。
1つは物置を足場にして2階の施錠していない窓から侵入されるケースです。
物置というのは製品によっては高さが低いものもあり、意外とよじ登ることが可能なため、2階からの侵入の手助けとなってしまいます。
もう1つは物置の中に鍵を隠している場合で、その鍵を泥棒に取られて侵入されてしまうパターンです。
仮に鍵を隠していなくても、物置自体が施錠されておらず、そこに工具類などが置いてあれば、それらを利用されるリスクもあります。
2階のベランダには上ってこないだろうと考えて、無施錠にしておくのはハイリスクです。
ベランダまでたどり着くことは、住宅によっては難しくないケースもあり、侵入しやすいと見る泥棒も少なくありません。
鍵が施錠されている場合でも、ベランダの手すりや腰壁が目隠し代わりとなりえます。
簡単に窓を壊して鍵を開けて住宅内部へと侵入することができることから、しかるべき対応が望ましい場所です。
注文住宅などでは設計段階で防犯対策を取り入れることで、被害に遭いにくい住まいを作り上げることは可能です。
当然、設計する建築士さんも心得ているわけですが、設計段階で防犯対策を取り入れることで、後々の費用が心配という声もあります。
しかし、必ずしも防犯用品の取り付けだけが対策ということではなく、建具の仕様で防犯の機能を持たせることもできるのです。
具体的な建具を挙げて、どのようなポイントが有効なのか説明します。
令和2年のデータでは、戸建て住宅の侵入窃盗総数16,316件のうち、53.5%が窓からの侵入です。
そのため窓の防犯仕様は、ぜひ、取り入れておきたいポイントとなります。
窓は見通しが良い部分に配置を基本として、防犯性が高い「防犯ペアガラス」「格子」などを採用し、ロッククレセント、補助鍵などで十分に機能性を高めます。
特に補助鍵は上部に取り付けると、こじ開けにくい窓となり、より安心です。
雨戸を付ける場合は、雨戸鍵が2か所以上ついているものにすると、防犯性がさらに高まります。
近年の玄関ドアは様々な仕様がありますが、侵入口となる場合は、強引にこじ開けられる傾向が多いです。
玄関ドアの防犯性能の向上策としては、防犯性能が高い錠前のドアにします。
更に防犯性が高い補助鍵を付けることで、さらに防犯性を高めます。
また、アラームのような防犯器具を付けることで、侵入の際の大きな警告音によって、犯罪を発生させずに済ませるしくみを効果的です。
非常口(勝手口)というのは、どうしても死角となる場所に配置されることが多くなります。
そのような傾向から、便利な非常口(勝手口)ではありますが、本当に必要かどうかを、設計士さんに助言をもらって考えることが重要です。
近年は非常口(勝手口)を付けない住宅も増えており、重要性は決して高くないといえます。
住宅に、非常口(勝手口)の設置を義務付ける法律はなく、建築主あるいは建築士の考え方によるため、必要と判断した場合は、見通しの良い部分に配置することを検討すると良いです。
引渡しを受けて引っ越した後でも、防犯対策はたくさんあります。
様々な防犯機器やシステムなどを付け加えることにより、安心できる住まいとなります。
引渡し後のDIYによる防犯対策については、ホームセキュリティと防犯カメラがおすすめです。
TVCMなどで見かけるホームセキュリティは、一般住宅向けのセキュリティサービスで、265日24時間、休まずに住宅を見守ることができます。
侵入などを感知すると、契約した会社のサービスセンターに通報され、ガードマンが駆けつけるといった仕組みが一般的です。
オフィスビルなどでも導入されていますが、近年は安価なホームセキュリティサービスも増えており、選択肢が広がっています。
住人が不在の時間が多い住宅ほど、ホームセキュリティは効果的と言えます。
住宅の防犯対策として、最もポピュラーな方法は、防犯カメラの採用です。
侵入、いたずらなどの抑止力があり、被害に遭った場合の証拠を得られるという点では、コスパの高い防犯方法と言えます。
夜間でも暗視機能付きであれば、画素数が高い防犯カメラを設置することにより、鮮明な映像を残すことができます。
設置数が多くなりそうなときは、一部、ダミーを使用することで、コストを抑えることも可能です。
空き巣などの侵入窃盗あるいは侵入強盗は、これかも無くなることがないであろう犯罪と言えます。
無くならない要因としては、まだ、防犯対策が十分でない住宅もあり、防犯意識の希薄さも影響しているケースも。
安心できる住まいがあるからこそ、日々の生活が充実するものです。
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