2021年12月に閣議決定された「令和4年度税制改正の大綱」が、すでに国土交通省などから発表されています。
これからマイホームを新築する人にも影響する内容が多数盛り込まれています。
減税においては拡充・廃止があり、決して無視することはできない内容です。
税金の内容を知っている人と全く知らない人では、数十万円以上の税金負担の差が生まれてもおかしくありません。
今回の税制改正に留まらず、税の制度については、ある程度の知識を持っておく方がメリットは多いですので、本記事を参考にマイホームを手に入れる計画を実行してください。
令和4年度の税制改正大綱は、冒頭にあるように令和3年12月に閣議決定されました。
法案の成立前ではありますが、減税の拡充、内容の延長、廃止などが盛り込まれているため、マイホームの入手においては情報を整理する必要があります。
国の方針は、住宅の省エネ、カーボンニュートラル、長期優良住宅を促すとともに、質の良い住宅のストックを促進するものです。
具体的に優良住宅の場合は、一般住宅より有利な面があることからも、改正の目的は明確です。
新築すると、どのような税金へ影響があるのかという視点から、
まず、住宅ローン減税の内容が、今回の税制改正によって変更となっているのが特徴です。
重要な部分のみをお伝えすることにします。
要点としては、
になります。
なお住宅ローン控除においては、所得税から控除できなかった部分は住民税から控除することができますが、住民税から控除できる金額は1年ごとに上限があるため注意が必要です。
要点を総括すると、住宅ローン控除は縮小と捉えられても仕方がない内容となりました。
しかし、依然として長期間、所得税および住民税が減税されるので、やはり活用は必須です。
新築する世代は20代から40代が多い傾向にあり、子どもの成長とともに支出が増えるケースが多くなります。
この時に、1年限りの減税ではなく、長期間の減税であれば高額出費に備えられます。
何もなく無事過ごせた場合は貯金にまわし、機会を見て住宅ローンの繰り上げ返済をするという手段も選択肢のひとつです。
ただし、繰り上げ返済を重ねていくと、住宅ローン控除の額も減る可能性がでてくるため、繰り上げ返済を実行する前に金融機関にて、返済と節税のシミュレーションを行うことも検討してみてください。
認定長期優良住宅、認定低炭素住宅といった認定住宅を個人が新築した場合、一般住宅と比較すると、最大控除額に大きな違いが生まれます。
住宅の種類 |
最大控除額(13年/0.7%) |
控除対象借入限度額 |
一般住宅 (省エネ基準適合) |
364万円 |
4,000万円 |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
455万円 |
5,000万円 |
一般住宅においては省エネ基準適合でない場合、控除対象借入限度額は3,000万円に下がり、最大控除額も273万円に留まります。
なお、住宅ローンを利用しない場合の最大控除額は65万円ですから、少なくとも新築住宅は省エネ基準適合の仕様にして、住宅ローンを利用して手に入れることは念頭に置いておくことがおすすめです。
その理由は、省エネ基準に適合しない住宅においては、2024年(令和6年)以降の建築確認分から、住宅ローン減税の恩恵を受けることができないからです。
ただし、ハウスメーカーなどは、この事情を見越して省エネ基準に適合した住宅をラインナップしていますが、念のため、心配ならば確認すると良いでしょう。
長期優良住宅の普及と促進に関する法律に定められた住宅で、バリアフリー性能、省エネルギー性能、耐震性能など一定要件を満たした住宅です。
都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)に定められた住宅で、二酸化炭素排出を抑制する措置が施された住宅の新築など一定要件を満たした住宅です。
印紙税、登録免許税についても変更が行われ、「住宅用家屋の不動産登記に係る登録免許税の軽減措置」は、令和4年4月1日から令和6年3月31日まで2年間延長となります。
また、不動産取得税についての軽減措置についても、令和3年4月1日より3年間延長です。
住宅を取得した際の印紙税、登録免許税、不動産取得税について、あらためてお伝えすることにします。
工事請負契約書および不動産譲渡契約書における印紙税の軽減措置は、令和4年4月1日より令和6年3月31日まで2年間延長されます。
印紙税の税額は、契約金額に応じて50%から20%減額です。
例をあげると、不動産の譲渡もしくは住宅工事請負金額が1,000万円超5,000万円以下ならば、通常、2万円の印紙税が50%の軽減で1万円となります。
登録免許税についての軽減措置は、前述のとおり、令和4年4月1日より令和6年3月31日の2年間延長です。
内容としては、
が主な内容となります。
ほぼ、どのような仕様の住宅でも、登録免許税については改正の恩恵を受けることができます。
現状、不動産取得税の標準課税率である4%が、3%となる税率の特例措置については、そもそも令和3年4月1日からスタートしており令和6年3月31日までです。
ただし課税標準において、一般住宅と認定低炭素住宅では固定資産税評価額からの控除額が1,200万円であるのに対して、認定長期優良住宅の控除額は1,300万円となります。
同じ税率であれば控除額が大きいほうが、税額で有利になるということです。
注意すべきは、課税標準の特例の適用には条件があることで、延床面積が50㎡以上240㎡以下であることが求められます。
さらに長期優良住宅においては、延床面積のほかに、
という点も必要です。
また、土地に関しては住宅同様に税率3%が適用され、かつ「宅地評価土地の取得に係る課税標準の特例措置」によって、固定資産税評価額の50%が課税標準となる内容は、令和6年3月31日まで実施されることになっています。
土地における不動産取得税の恩恵を受けるには、各都道府県ごとに定められている要件を確認するようにしてください。
新築の建築や購入から引き渡しまで、さまざまな税を納めますが、引き渡しを終えて入居してからは、固定資産税との付き合いが始まります。
固定資産税においては、新築住宅等の軽減措置は引き続き延長となったものの、住宅地の税額の特例措置および負担調整率は延長されませんでした。
ただし、商業地は負担調整措置が廃止されるわけではありませんので、引き続き恩恵を受けることができます。
条件次第では商業地にある土地の選択もありです。
現行の新築住宅に係る税額の減額措置については、令和4年4月1日から令和6年3月31日まで2年間の延長となりました。
一般住宅の場合、3年間に渡って税額が1/2となります。
大体、2,000万円ぐらいの住宅では、3年間で約26万円も減額となる試算となり、節税の効果が期待できる措置になります。
しかし4年目からは特例措置が適用されなくなるため、一見、増税のように感じますが、本来の税額に戻るということです。
土地の部分においては、固定資産税評価額が、
となります。
認定長期優良住宅においても、税額の軽減措置が前述のように、令和4年4月1日より令和6年3月31日の2年間延長です。
一般住宅などは固定資産税が3年間に渡り1/2に減額するというものでしたが、認定長期優良住宅であれば、5年間も節税の恩恵が受けられます。
ちなみに認定低炭素住宅では、5年間ではなく3年間ですので、勘違いには要注意です。
固定資産税と合わせて都市計画税も支払うことになりますが、その際に固定資産税評価額が
として計算されます。
住宅にも都市計画税の負担はあるのですが、今回の改正大綱では減額などの措置はない状況ですので触れていません。
令和4年度の国土交通省が出した税制改正を各税金別に説明してきましたが、一般的に優良とされている住宅の建築を促進することを目的としています。
新たに住宅を建築する人にとっても性能が良い住宅、光熱費が安くなる住宅に住むほうが、今後の大災害などに対応できるはずです。
省エネ性能の良い住宅に住むためには、それなりの費用も必要ですが、さまざまな軽減措置によって、できるだけ負担増を抑えられる可能性があります。
弊社リブワークでは省エネ性能の高い住宅、特に断熱性能の指標となるUA値(小さいほど性能が高い)が0.37という、国内ハウスメーカーではトップクラスの実績を基に、快適な住まい作りを提案しています。
省エネ性能の高い注文住宅を検討している場合は、遠慮なく弊社リブワークヘご相談ください。
本稿は、令和4年度の税制改正大綱に関して紹介したに過ぎず、法案成立の前段階での情報提供となります。
情報の正確性には努めていますが、その内容を担保するものではなく、一切の責任は負いません。
具体的な内容は、不動産業者、ハウスメーカー、税理士、会計士などへ、お問い合わせください。