省エネ住宅への関心が高まり、その手段のひとつとして全館空調を注文住宅に導入を検討する建築主が、福岡県内でも増加傾向にあります。
また、全館空調の「エアコン1台で家中快適」といった魅力的なフレーズに惹かれ、興味を持っている方からの相談件数も多くなっています。
その一方で「電気代が高くなりそう」「実際に使用したお宅にお邪魔したことがないから不安」と感じ、導入を迷っている方も一定数いるのは否定できません。
そこで今回は、全館空調の基本的なしくみや、メリットとデメリット、気になる疑問点などについてお伝えします。
是非家づくりの参考にお役立て下さい。
全館空調とは、1台のエアコンで家全体の空調・換気・空気清浄などを、一括管理できる空調システム、あるいは換気システムを指します。
リビングをはじめ各部屋だけではなく、トイレ、洗面所、廊下など家全体の空調をコントロールすることができるため、場所による寒暖差がなく家中どこにいても快適に過ごすことが可能です。
基本的には24時間365日稼働させておくため、一年を通して快適な室温を保つことが出来る便利なシステムと言えます。
全館空調を取り扱うハウスメーカーは大手だけとは限りません。
福岡県内でも全館空調の実績があるハウスメーカーや工務店も多数あるため、焦らず慌てずに、業者選びを行うことをおすすめします。
全館空調の一般的なしくみは、1台のエアコンなどの空調設備を宅内に設置し、そこからダクトを使って各部屋へ送風するというもので、リモコンやセンサーなどで一括管理できます。
主な全館空調の冷暖房方式としては、
の4つです。
【天井吹き出しタイプ】
天井内に空気の通り道(ダクト)を設置し、天井の吹き出し口から各部屋に冷暖房を送るもので、このタイプの採用が比較的多い。
【床下冷暖房タイプ】
断熱した床下の基礎部分で冷暖気を蓄熱し、床からの輻射熱とガラリの送風で冷暖を調整。
【壁パネルタイプ】
室外機で作った冷温水を各部屋に設置したパネルとつなぎ、パネルで冷暖房を行い室温調整。
【エアコン設置タイプ】
1台のエアコンを設置し、配管を通して各部屋へ冷暖房を送る。
2025年4月から全ての新築住宅に省エネ基準適合が義務化の予定となっていますが、その先の2030年、2050年にも省エネ基準の引き上げの方針が発表されており、建築業界にとっては大きな転換期です。
参照:住宅の省エネルギー基準|IBECs(一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター)
以上のように、省エネ基準はどんどん厳しくなっており、今後の注文住宅の省エネ性能もより高いレベルのものになっていくと予想されます。
そうすると必然的に建築コストも上がると考えてよいわけですが、全館空調は果たして高コストに見合うシステムなのかという疑問もわいてきます。
しかし近年は機能の向上により、初期費用やランニングコストが下がってきているため、省エネ住宅に全館空調を組み込むことで快適な住まいが実現可能です。
一口に「全館空調」と言っても設置方式や種類によって初期費用やランニングコストは大きく異なります。
全館空調はランニングコストが高いというイメージが強いですが、省エネ住宅の広まりとともに、ハウスメーカーの開発努力に加えて、
など、断熱性や気密性を高めた住宅をベースにすることで、初期費用やランニングコストが抑えられるようになってきています。
それでは全館空調を導入した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのか見ていきましょう。
1.常に快適な温度を維持できる
全館空調の一番のメリットは、家中まるごと快適な室温が保たれることです。
日本は世界でもヒートショックの発生件数が多いとされていて、日々の温度差は身体にとって大きなダメージとなります。
全館空調を導入することで脱衣所や浴室も温かくなるため、ヒートショックのリスクを低減することができます。
さらに、近年は夏の猛暑により、福岡県内においても家の中で熱中症になるということも珍しくありません。
全館空調は夏場も快適な室温が保たれるため、熱中症のリスクを低減できます。
体温調節機能が未発達な子どもや、体力の低下しがちな高齢者、暑さに弱いペットと暮らしている方に大きなメリットとなるでしょう。
2.空気がきれいになる
全館空調には冷暖房に加え、一種換気システムなどの換気機能が備わっています。
高機能フィルターで花粉やほこり、黄砂、PM2.5などの外気の汚染物質をカットしてくれるため、きれいな空気で安心して過ごすことが可能です。
さらにダニ・カビの発生リスクを軽減する効果も期待できます。
3.間取りの自由度が広がる
従来、エアコンは各部屋に1台設置することが一般的でしたが、冷暖房の効率性を重視すると、開放的な間取りは選択できない状況です。
しかし、全館空調を導入すれば各部屋にエアコンを設置する必要がなくなるため、冷暖房の効率化による間取りの制限もなくなり、吹き抜けや広いリビングも取り入れやすくなります。
さらに、エアコンの台数が少なければ室外機の置き場に苦慮することもなく、スッキリした外観のスタイリッシュな家づくりが可能となります。
1.初期費用がかかる
まず、避けられないのは導入時の初期費用の高さです
傾向としては下がりつつありますが、エアコンを各部屋に設置した場合と比較しても、全館空調の方が初期費用は高くなることも少なくありません。
各社コスト面で差がありますので、相見積もりなどでチェックしておくと安心です。
2.電気代が高い
全館空調は24時間稼働のため、これまでエアコンを使用する頻度が高くない場合は、電気代が高くなったと感じることがあります。
しかし、全館空調であればエアコンの消し忘れはなくなり、温度調整も不要です。
また、電源ONのときに発生する大きな電力消費は減ることになります。
福岡県では九州電力が2023年4月からの値上げが決定していることからも、電気代は無視できません。
3.乾燥しやすいい
全館空調では冬場に乾燥しやすいという面が否めません。
加湿器の利用や部屋干しをするなど乾燥対策は必須です。
全館空調のメリットとデメリットを知ることで、より理解が深まり判断に迷うことが少なくなります。
家庭によって重視する点はさまざまですが、デメリットを踏まえても全館空調の導入を検討する価値はあるとするならば、よくある導入後の疑問について知っておくとなお良いです。
「せっかく導入したのだから長く使用したい」「電気代ってどれくらいかかるの?」といった疑問についてお答えしていきます。
まだ一般的には、全館空調の電気代は高いイメージを持たれています。
しかし一概に、全館空調の導入が原因で電気代が高くなるとは言い切れません。
ご存知のようにエネルギー源の高騰により、福岡県においても九州電力が値上げ(2023年4月より)を実施することが決まっています。
一般家庭の光熱費は上昇傾向が続くと考えると、ますます省エネ住宅を望む声は大きくなるはずです。
省エネ住宅は生活に必要とするエネルギーを、一般住宅より抑えることができるため、初期費用の負担は発生しますが、長い目で見ると省エネになり電気代の節約に貢献する可能性はあります。
あくまでも参考値ではありますが、導入費用として100~300万前後を想定しておくことが望まれます。
仮に4LDKの新居に、全部屋エアコンを導入する(リビング1台、個室に計4台)場合、商品グレード次第ではありますが、60万~100万程度の費用が必要です。
メンテナンスに必要な費用も含めてのシミュレーションをしてみましょう。
一般的に全館空調の寿命は10~15年と言われています。
その一方で、部品の保有期間は長いものでも10年程度ですので、それ以降に修理が必要になると、復旧に時間を要する可能性がでてきます。
長い年月を経て故障し、修理が不可能となった場合は、再導入するしかありません。
しかし、全館空調は年々進化、コストも低減していくことも予想しながら、あらかじめ再導入を想定した設計や補償についても、工事業者やハウスメーカーに相談しておくとよいです。
全館空調の方式によって異なりますが、少なくともセルフメンテナンスとして、2週間~1か月ごとに、
ことは推奨されています。
セルフメンテナンスによって異変に早く気が付き、大きな故障を防げる効果もありますので、長く使用するためにも日頃のメンテナンスは大切です。
全館空調は部屋全体の温度を一定に保つため、部屋ごとに温度を調整することはできません。
体感温度には個人差がありますので、寒がりの人や暑がりの人が家族にいる場合は、設定温度を調整するほか、衣服などで調整することになります。
福岡県も真夏は熱中症患者が増加しているため、全館空調以前に体調管理が重要です。
正直、暑くない?寒くない?
体感温度には個人差があるため一概には言えませんが、家の中の温度差を抑え快適な温度を保つため、「リビングは涼しいのに廊下に出たら暑い!」「せっかくお風呂で温まったのに脱衣所が寒くて冷えてしまう」など、生活の中で起きるストレスを軽減できます。
必要に応じて、一時的に扇風機を使用したり、加湿器を併用したりすることで、より快適で身体に優しい生活が可能です。
1章の終わりで「2025年4月から全ての新築住宅に省エネ基準適合が義務化」と書きましたが、
を国土交通省、経済産業省、環境省は目指しています。
引用:2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策をとりまとめ~「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」の公表-国土交通省
このことから、全館空調を導入するにふさわしい住宅の条件が見えてきます。
それをふまえハウスメーカーを選択すると非常に合理的です。
さて、全館空調にふさわしい住宅の条件ですが、将来の省エネ基準と住宅の性能の面から、
を目安にすることをおすすめします。
福岡県内で注文住宅の実績が豊富な当社リブワークの場合は、
といった住宅の特徴があるため全館空調にとって合理的です。
さらには制震システムである「EQ GUARD」を標準装備しているため、省エネだけでなく地震にも強い住宅になっています。
※福岡県の断熱等性能等級地域区分(地域6)における断熱等級4のUA値が0.87に対して当社リブワークは0.37であることから「4レベル」と記載しております。
参照:住宅の省エネルギー基準|IBECs(一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター)
最後に改めて全館空調のポイント整理しておきます。
全館空調はメリットの多いシステムですが、ご家庭によって優先すべきものは異なります。
決して安いものではないため、デメリットを十分に理解した上で導入を検討してください。
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