気象庁の震度データベース検索で調べたところ、1919年1月1日から2022年10月23日現在まで、最大震度5弱以上の地震は国内で581回発生しています。
近い将来、大規模な地震が発生するとの予想が繰り返されるほど、日本は世界有数の地震大国です。
このように地震の多い日本で生活していくためには、地震で起こりうる被害のリスクを減らすためにも、新築時には地盤調査をして土地の状態を把握することが非常に重要になってきます。
また地盤の状態によっては、地震や災害が起きた時に大切な家を守るため、強固な地盤へ改良する必要性もあるのです。
そこで本記事では、地盤調査の必要性、費用相場、地盤調査の方法などについての概要を説明することにします。
地盤調査とは、マイホームの新築などを考えた時に、その土地の地盤構成、土質の硬軟や地下水位など土地全体の状態を調べ、マイホームを建築しても耐えられる地盤なのかを把握するための作業です。
この地盤調査の結果を基に、地盤改良が必要なのか、またどのような基礎を作るべきかなど、地震に耐える力について構造計算を行った上で設計に反映して施工を進めていきます。
建物と土地に適した施工方法を決めるために必要な調査と言えます。
一般的に使われる調査方法は、以下の3つです。
結論から述べますと、平成12年(2000年)の建築基準法の改正により、地盤調査は義務化されています。
阪神・淡路大震災後の液状化現象により、たくさんの建物が倒壊するなどの被害がでたことは、記憶に残っていることでしょう。
液状化現象とは、地震により地盤がドロドロの液状になり、地盤が沈下する原因となることです。
このような背景から、阪神・淡路大震災後に地盤調査が義務付けられました。
なお液状化については、地盤調査をすることによって対策を取れば、被害を防ぐことが可能です。
また地盤調査をしなかった場合は、瑕疵担保保険に加入できないといった制約を受けることになります。
土地の取得においては、地盤調査を行えるタイミングとしては契約後になります。
その後、設計を行って建物の仕様などが決まれば、建物をどの位置に建てるかの縄張りをしてから位置確認を行います。
その後に地鎮祭を行ってから地盤調査を行うことが、一般的なステップです。
ちなみに地鎮祭については義務ではありませんが、依頼する場合は不動産業者やハウスメーカーに相談や紹介してもらうことも可能ですし、ご自身で直接依頼しても構いません。
参考までに述べますと、建物がある土地を取得した場合も地盤調査は必須です。
その場合は建物を解体して更地にしてから、縄張りをして位置確認を行ってから地盤調査へと進んでいきます。
土地の取得前に地盤の状態をどうしても知りたい場合は、先方との相談次第では、以前の地盤調査の報告書などを見せてもらえる可能性があります。
また、契約前であっても地盤調査の許可を出してしてもらえるケースもありますので、まずは相談することがおすすめです。
地盤調査の費用は調査方法によって変わります。
大まかな相場としては、5万から30万程度だと考えておいて下さい。
地盤調査の結果によって地盤改良が必要と判断された場合は、別途で地盤改良の費用が発生します。
地盤改良のための工事費用は、見積りによって決定しますので、ここでは具体的な数字は控えておきます。
地盤調査の種類はいくつかありますが、ここでは冒頭で挙げた3つの調査方法の費用について、参考の数字ではありますが個別に提示していきます。
地盤調査の試験方法によって、調査にかかる時間は半日から数日に及びます。
ボーリング試験は調査に1日~数日は必要であり、結果の判明までは少し時間がかかる場合があります。
スウェーデン式サウディング試験は建物の規模にもよりますが、調査にかかる時間は半日から1日ぐらいです。
正式な結果に関しては後日になりますが、半日後に速報というかたちで大体の結果を知ることができます。
速報の時点で地盤改良の是非を判断できることがメリットです。
表面波探査法は、基本的には3時間程度の調査時間で済みますが、天候や地盤の状況次第では、多少、長引くこともあります。
マイホームの新築を考えている方は、ハウスメーカーや工務店に依頼していることが多いはずです。
その場合は、ハウスメーカーや工務店が地盤調査会社を手配して、調査へと進んでいきことがオーソドックスな流れになります。
また、自分で調査会社を見つけて、直接、調査の依頼をしても構わないのですが、その際は、事前にハウスメーカーや工務店に相談しておくと、後々、ダブルブッキングなどのトラブルを抑えることができます。
しかし、個人からの調査依頼を受け付けてない会社も少なくないため、特段の事情が無いならば、ハウスメーカーや工務店に任せると良いです。
個人で地盤調査の依頼をする場合は、地盤調査を行っている会社のリサーチが必要になります。
地盤調査会社に伝手があるという個人は非常に珍しいので、大抵の場合は情報収集や問い合わせからスタートすることになります。
その後、地盤調査をしてほしい土地を見に来てもらい、必要な資料の確認と見積り依頼というステップが一般的です。
見積もり依頼は1社だけではなく、2~3社をピックアップして相見積もりすることをお薦めします。
見積りを比較することで、調査方法や費用が適正なのかを確認することもできますが、専門知識が無ければ検討自体が難しいはずです。
結局、どの地盤調査会社に頼んだらよいのかわからない、個人からの依頼は断られてしまう、といった問題が解決しないのであれば、工務店やハウスメーカーを通して地盤調査会社を手配してもらうようにしましょう。
もし、何らかの伝手があるものの個人の調査依頼は受けていない地盤調査会社を希望するのであれば、工務店やハウスメーカーに伝えれば、手配してくれる可能性はあります。
土地を見ただけでは、良い地盤なのか悪い地盤なのか、誰にも判断はできません。
だからこそ、ハウスメーカーや工務店が手配した地盤調査会社であったとしても、ある程度、信頼できる会社かどうかを判断するための指標を知ることは大切です。
そのためにも調査会社の企業案内、もしくはウェブサイトから有資格者の人数、調査実績、技術力、実働年数など、チェックして下さい。
ちなみに関連する専門的な資格については、
などがあり、担当する調査員あるいは現場責任者が専門技術者であることも確認しておきましょう。
地盤調査の後に、正式な地盤調査報告書を提出してくれるかどうかについての確認も忘れてはなりません。
なぜならば、構造図書を必要とする建築確認申請をする際に、地盤調査に含まれている土質柱状図の提出が必須だからです。
ひとつ注意しておきたいことは、地盤調査後の調査報告書の作成、あるいは速報結果について、「調査会社だから当たり前にやってくれる」から確認は不要と考えることです。
過去には地盤調査データ改ざんという事件もありましたので、やはり個人での依頼よりは、ハウスメーカーや工務店を通しての調査依頼が全てにおいてリスクが軽減されます。
地盤調査の方法は、前述のとおり以下の3つを挙げました。
建物の規模、大きさ、場所によって調査方法は変わりますが、最後に調査方法の概要について説明しておきます。
かなり専門的な内容となるので詳細は省きますが、何となくイメージできれば幸いです。
ボーリング調査と言えば、最もポピュラーなのは標準貫入試験です。
標準貫入試験の方法は、一般的に試験の穴を1mごとに掘削し、試験用サンプラー(土の試料を採取するもの)をロッドの先に取り付け、掘った穴の底におろします。
サンプラーを予備打ちによって15㎝ほど貫入させた後、63.5±0.5キログラムのハンマーを76±1.0㎝から自由落下させて本打ちを行います。
予備打ちをしてからの本打ちで、サンプラーを30㎝貫入させるのに要した打撃回数を地盤の強度とし、この値を「N値」として表すのです。
このN値の数値が大きければ「硬い強度のある地盤」、小さければ「軟らかい地盤」となり、このN値の結果は土質柱状図に記載することになります。
ボーリング調査は、かなり深く掘って調べることができるため、硬い地盤でも調査ができることが特徴です。
まず呼称についてですが、JISの改正(2020年10月26日付)によって、現在はSWS試験、つまりスクリューウエイト貫入試験の方がメインです。
しかし本記事では、旧称のスウェーデン式サウディング試験と並記してきたことから、このまま用いることにしています。
戸建て住宅の地盤調査にもっともよく使われる試験方法で、一般的に試験箇所は住宅を建てる四隅と真ん中の5箇所です。
スウェーデン式サウディング試験(SWS試験)の方法は、ロッドの先にスクリューポイントというドリルの部品を取り付け、土の中にまっすぐに突き立てます。
その時、所定のおもりを段階的に大きくしながら取り付け、荷重による貫入量を計測していきます。
おもりは最大100㎏で、このおもりでも貫入しない場合は、ロッドにハンドルを取り付け右回りに回転させ、ロッドの目盛線25㎝までに必要とする180度を1と考えて半回転数を記録するわけです。
この測定により、土の硬軟、地盤の締まり具合などが分かります。
この試験は、硬くない粘性土に適していますが、砂礫層などの硬い地盤や大きな石などがある場合は、掘り進めていくことが出来ないという状況も発生してしまいます。
表面波探査は、振動、具体的には極めて小さい地震波(レイリー波)を人工的に発生されることで、地盤での伝わり方をコンピューターで測定・分析する、国土交通省が「物理探査」として認めている調査方法です。
ボーリング試験やスウェーデン式サウディング試験(SWS試験)のように、大掛かりな調査の機械を搬入せずに調査が可能なため、機械の搬入が厳しい奥まった場所にある土地でも、効率的に調査ができることが特徴となります。
また、土地に穴を開けない調査方法であることから、何となくですが、土地にやさしい印象です。
地盤調査について、依頼のしかたや費用、調査方法などについて簡単ではありますが説明しました。
本記事で、地盤調査の必要性を理解し、地震などの災害から大切な家を守れる意識が高まると幸いです。
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