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2022.08.17
法律 その他

重要事項説明のIT化(IT重説)とは?店舗に行かず自宅で説明を受けられる条件を解説

IT重説のメリットやデメリットや動向を解説

目次

 

近年、住まい探しをしていくなかで、「IT重説」や「オンライン内見」という文字を不動産会社のHPや物件探しのサイト上で見かけることが増えました。

コロナ禍において、対面することなく契約が進められるIT重説は、感染リスクを下げることができますし、不動産会社に行く時間がとれない方にとっても利用価値が高いと言えます。

しかし、従来は対面で行っていた重要事項説明をITで行うことに、不安や抵抗を感じる方も少なくありません。

そこで今回は、これから導入が進んでいくであろうIT重説の概要や実際の流れなどについて説明していきます。

IT重説について

IT重説とは、不動産の売買または賃貸の契約成立までに書面として不動産会社が交付していた重要事項説明書を、従来のような対面式で行うのではなく、ビデオ通話などを使用してオンライン上で行うことです。

説明を行う宅地建物取引士(宅建士)と、契約者の双方が対話できる環境が整っていれば、自宅でもカフェでも実施することができます。

重要事項説明の位置づけ

不動産の取引では、実際に物件に住むまでに「重要事項説明書」と「契約書」の説明と交付があります。

重要事項説明書の位置づけは、物件に住む(買う)ための判断材料であり、且つ、不動産の知識や経験がほとんどない買主が契約の際に不利にならないよう保護することです。

そのため契約書の説明より先に、専門知識を有した宅建士が説明することを法令で義務付けられています。

対面であってもオンラインであっても、買主が契約するかどうかを決めるために行われるものなので、必ず契約を締結する前に実施されます。

契約書については、契約した後にトラブルが起こらないよう、売主と買主の間での取り決めが記載されている文書です。

IT重説のやり方(流れ)

国土交通省が公開している「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」に基づき、ポイントを絞って簡単に説明します。

  1. 事前準備
    双方向でオンラインでの対話ができる環境について確認。
  2. 文書の送付
    事前に不動産会社から、宅建士による記名・押印済みの重要事項説明書などが送付される。
  3. IT重説の開始前
    お互いの顔を視認できているか、声が聞こえているか、文書は揃っているか確認。
  4. IT重説の開始
    宅地建物取引士証(宅建士証)を宅建士が画面に向けて提示するため、本人であることを確認。
    説明については1時間前後で終わりますが、通信環境が悪く障害が発生した場合には、一度中断して適切な対応が取られる。
    短時間で問題が解決できたら再開。
  5. IT重説の終了後
    重要事項説明書の説明が終わったら、契約者側は文書へ記名・押印。
    記入漏れや、押印がきちんとできていないと、再度、郵送する時間や手間がかかるため、必ずオンラインでの対話中に実施がベスト。
    記入や押印の場所がわかるよう付箋を付けている不動産会社もある。
  6. 契約者が不動産会社に文書を返送する
    契約者は書類に記名・押印ができたら不動産会社へ返送。
  7. 鍵の引き渡し・入居
    鍵も郵送で契約者側に送付も可能。

IT重説のメリットは時間コストの削減や日程の調整が取りやすいことや録画によるトラブルの防止など

IT重説のメリット

IT重説の導入を考えている不動産会社や、利用を考えているお客様に向けて、期待されるメリットを紹介します。

時間コストの削減

まず、移動時間と移動に要するコストの削減が挙げられます。

お客様側からすると、子育てや仕事で時間が取りにくい、あるいは進学や転勤などで遠方に暮らす場合、わざわざ不動産会社まで行かなくても、オンライン内見やIT重説で契約完了まで済ませることが可能です。

不動産会社側においても、繁忙期であっても店内の席数を確保できるので、飛び込みのお客様対応がしやすくなります。

コロナ禍においては、来店客の制限などがあってもオンラインでの対応できれば、売上機会の損失を防ぐことができますし、来店客への対応に忙殺されずに済むため、事務処理も捗ります。

また、IT重説の際は事前に文書を送付するので、お客様と不動産会社が双方で書類のチェックができるうえ、当日の質疑応答もスムーズです。

日程の調整がしやすい

IT重説であれば、お客様は来店をする必要がなくなるので、移動時間を考慮せず都合の良い時間で日程を組めます。

対面の場合だと、子育てや仕事で外出できる時間が確定できず、入居日ギリギリまで契約ができなかったなんてことも。

不動産会社側としても、お客様との都合がつかずに入居日ギリギリまで契約ができず不安を抱えるよりも、IT重説が前提であれば日程調整が行いやすく、契約を完了させてしまうことが可能です。

来店となると、雪や雨などの天候が原因でお客様が約束の時間に間に合わず、後ろの予定が立て込むこともあるので、特に繁忙期にはIT重説が活躍することになります。

お客様は緊張による不安が無い

お客様が、自宅でリラックスして説明を受けられる点は、かなり大きなメリットになるはずです。

重要事項説明書といった重要な文書の説明に、緊張されるお客様は多いもの。

書面の内容も、日常で聞くことのない難しい単語が並んでいますし、直接、来店して重要事項説明を行う場合、その場で書類を渡されて説明が始まるので、内容が理解できないまま、記名・押印をしてしまうお客様もなかにはいらっしゃいます。

自宅で重要事項説明を受けられれば、リラックスできる環境に身を置いていることもあって、質問しやすい雰囲気になります。

また、来店と違って文書は事前に届くので、先に目を通しておくことで説明時に内容がすんなり頭に入りやすくなりますし、トラブルの予防にもなるのです。

新型コロナウイルスの感染防止のために、外出を控えたいといったお客様に対して、新たなサービスとなります。

IT重説に限らず、物件探しの際もオンライン内見はおすすめです。

物件までの道案内や説明を受けた申し訳なさで、断り辛い状況に困る方には、オンライン内見は好都合と言えます。

自宅から質問や希望を伝えられますし、気に入らないまま説得されて、契約してしまうといったことを避けることができます。

録画によるトラブル予防

IT重説の録画義務はありませんが、契約には「言った言わない」という水かけ論のような問題がつきまといます。

特に不動産の売買では取引金額が大きいので、万一、水かけ論が発生した場合は、事態の収束に膨大な労力を必要とするケースが多いものです。

契約者と不動産会社の双方の保護のためにも、録画や録音をしておくのが望ましいと言えます。

録画・録音をしておくことで、説明する側も自分の説明を振り返ることができるので、説明に関するスキルアップが見込めます。

IT重説のデメリットは売主買主双方のIT環境の整備や通信障害や機器トラブルなど

IT重説のデメリット

IT重説のメリットは魅力的ではありますが、一方でデメリットが無いわけではありません。

デメリットについても、いくつかお伝えしておきます。

借主・買主側のIT環境整備

IT重説を行うためには、双方の顔が視認できること、声が聞こえること、途切れることなくスムーズに重説を行えること、といった通信環境が整っていることが前提です。

通信に使うツールは特に決まっていませんので、スカイプ、Zoom、無料ビデオチャットアプリなど、双方に都合の良いツールを利用します。

ただ、お客様によっては使い慣れていないこともあるので、操作に関するアドバイスを電話でサポートするといった、直接、取引とは関係のない業務が発生することも考えられます。

通信障害や機器トラブル

上記のとおり、何とか通信環境を整えてIT重説の日を待つばかりとなったとしても、通信障害や機器トラブルというリスクからは逃れることはできません。

説明が困難になった場合は、国土交通省のIT重説のガイドラインにもあるように、重説を中断することになります。

ただし、短時間で問題が解決したら説明を再開できますが、難しい場合は対面での説明に変更せざるを得ません。

その場合の日程調整が、これまた大変なので、事前に予備日をお互いに立てておくと、いざという時に対応できます。

IT重説対応の動向

IT重説対応までの流れと動向について、少しふれてみます。

実施においては必須条件や資格はありませんが、現状においてはIT重説の普及には、もうしばらく時間が必要です。

また、物件や状況次第では、対面での対応となることもあります。

そもそも重要事項説明が対面による紙媒体での実施だったのは、宅地建物取引業法に規定として決められていたからです。

しかし、徐々に内容が見直され、

  • 2017年10月1日:賃貸取引を対象にIT重説運用開始
  • 2021年3月30日:売買取引を対象にIT重説運用開始
  • 2021年5月12日:デジタル改革関連法が参議院で可決し重要事項説明書への押印義務廃止と書面化義務の緩和など、同年9月施行
  • 2022年5月19日:重要事項説明書の電磁的方法による交付が可能に(押印不要)

上記の流れを経て、宅地建物取引士による押印が不要になり、その上でPDFファイル等の電磁的方法での書面交付が実現となりました。

今後、さらにIT重説が普及していけば、不動産の取引は益々活況になる可能性があります。

IT重説の留意点

紙での重要事項説明書においては、宅地建物取引士の押印は不要とはなっていないため、従来通りと考えて良いです。

また、IT重説を不動産会社が強要することはなく、お客様には対面を選ぶこともできると覚えておきましょう。

IT重説のやり方やメリットやデメリットや動向を紹介

まとめ

IT重説やオンライン内見を不動産会社がどんどん取り入れていけば、忙しい人にとっては効率的な住まい探しが行える一方、営業面でも新たな顧客獲得の機会となり、お互いにメリットはあります。

導入の割合が増加していけば、自宅に居ながら不動産の賃貸または売買契約が当たり前になる可能性があり、不動産が身近なものとして感じられるでしょう。

遵守すべきルールを理解し、不動産会社とお客様がしっかり理解した上で適切に運用することで、利用価値は高まっていくことになります。

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